宮沢湖6月から立ち入り禁止 「メッツァ」工事いよいよ

湖畔にあった釣り施設もすべて撤去され、工事を待つのみ

 地元住民を中心に散歩やジョギングなどが絶えない飯能市宮沢地区の人工池「宮沢湖」への立ち入りが、6月から禁止となる。フィンランド以外では初となるムーミンテーマパーク「メッツァ」の来年オープンに向けての調査、工事に伴うもの。

 同湖には日高市へ通じる県道からのメイン進入路とともに、上流から下流まで合計5か所の入り口がある。同湖を所有する市は同月1日から、このすべてをゲートで封鎖するほか、ハイカー用に周辺の目に付く場所に立ち入り禁止周知の看板を掲出する。

 宮沢湖には1周約2・5キロメートルの遊歩道が整備され、そこに接続する形で下流の堤体両端や主要幹線の県道飯能寄居線からの進入路がある。尾根を越えて、飯能市街地方面から伸びるハイキングコースからも上流側で入ることができる。

 同湖を所有する市は、6月1日からこれら全5か所の入り口をバリケードで閉め、関係者以外の立ち入りを禁止する。メッツァ開設に伴う遺跡調査、工事が始まるための措置だ。

 市教委によると、同湖畔には主に縄文時代の遺跡が包蔵されている。遺跡は北岸、南岸にそれぞれ1か所ずつで、名称は北岸が「薬師山遺跡」(約2700平方メートル)、南岸が「三島山遺跡」(約2200平方メートル)。

 両遺跡については、メッツァ開発で試掘が昨年初めて行われ、双方から縄文時代の土器片などが出土していた。

 6月1日の入り口封鎖後、市教委は開発業者との協議を行い調査に入るが、現段階で調査期間ははっきりしていない。また、メッツァ開設工事にいつ着手するかについても未定という。

 同湖は、ヘラブナやワカサギ釣り場として釣り人に高い人気を誇る。漁業権は入間漁業協同組合(古島照夫組合長)が所有していたが、今年2月6日の総代会でムーミンのテーマパーク事業を理由に漁業権放棄が執行部から提案、全会一致で承認された。

 その後、契約期間の満了で3月末をもって同湖での釣りに関する営業が終了した。釣り客に入漁券などを販売する管理事務所、桟橋などが解体され、更地に。ヘラブナやワカサギ用などの釣り船も湖上からすべて引き上げられた。

 一方、宮沢湖の所有権については、それまでの国から飯能市に移っている。譲与申請の手続きを経て、昨年10月3日付けで移転が承認、登記手続きが完了している。所有権が市に移ったことで、今後のメッツァ開設に伴う行政上の各種手続きなどの期間が短縮されるなどのメリットや、規制などのしやすさなどが挙げられる。

 ムーミンテーマパークはフィンテックグローバル社(東京都港区、玉井信光社長)が取得した元西武鉄道所有地約18万7000平方メートル(東京ドーム4個分)に開設する。

 南岸の無料の「パブリックゾーン」(インターナショナルゾーン)と対岸の「ムーミンゾーン」に分けられ、パブリックゾーンには、世界から集めた代表的飲食やお土産を販売する各国の建物が20~30棟建設される。ムーミンの博物館、レストランなどを整備し、年間入園者約100万人以上をめざす。

 施設のオープンが来年に迫り、市民の間では「本当にテーマパークが出来るのか」などといった声が囁かれ始めているのも事実。今回、湖畔道などの利用制限が示されたことで、本国を除いて世界初という一大プロジェクトの始動がいよいよ本格化する。