カヌー工房が大型艇作り 民営化1号プロジェクト進行中
飯能市下名栗の市営飯能市カヌー工房は、認定NPO法人名栗カヌー工房(山田直行理事長)に譲渡され、4月1日から民営へ移行した。
同工房では今、幸先良く全長8メートルの大型カヌーを、西川材使用で7月末までに2艇製作するという民営化第1号プロジェクトが進行中だ。
飯能市カヌー工房は、都市と山村の交流とともに、森林資源の有効利用を図ることを目的に合併前の旧名栗村で平成8年に設置され、16年4月から名栗カヌー工房が指定管理者として管理を代行。
これまで、カヌー製作やそう艇の指導とともに、高い技術と経験、知名度を生かし、施設の管理運営を効果的に行い、利用者などから高い評価を得てきた。
市は名栗カヌー工房の実績を評価し、同工房への施設譲渡を前提として民営化について検討を開始。その結果、施設の所有を同工房に移管し、法人の自由な発想による自主的な運営に託すことで、利用者のニーズにより合致してサービスの提供や新たな事業展開による利用者の確保、周辺観光施設との連携による人の呼び込みなどによる地域の活性化が期待されること。
また、名栗カヌー工房も将来にわたり、施設の管理運営を通じて市の森林・林業、観光産業の振興につながるより発展的な事業展開を図りたいといった意向を示していることから、完全民営化へ移行することが市の利益の増進に繋がると結論付けた。
これにより、飯能市カヌー工房は今年3月31日をもって行政財産の用途を廃止、普通財産に変更した上で、名栗カヌー工房に土地を貸し付け、建物を譲渡し、4月1日から同工房による完全民営化へ移行するため、12月議会へ廃止条例案、財産処分案が提出、議会の承認を得た。譲渡する建物、土地の貸付とも無償。
4月1日からの完全民営化により名栗カヌー工房となった施設では、工房の技術力を生かした新たなプロジェクトが進行している。
東京都内の企業からの発注で、全長8メートル(6人定員)の大型カヌーを2艇製作し、7月中に納品するというプロジェクトだ。材料は、すべて地元で産出されたスギとヒノキのみ。
このカヌーは一般的なカナディアンタイプではなく、本体側面から長さ約2メートルの支柱が2本伸び、その先にカヌーを小さくしたような形の浮力体(長さ約2メートル)が付く「アウトリガー」と呼ばれるスタイル。浮力体が付くことで、安定性が増すといったメリットがある。
山田さん(73)によると、企業はこの2艇の大型カヌーを使い、福島県猪苗代湖で教室を開くという。
「民営化になって、最初のワクワクする仕事。この後、カヤック製作の注文も入る予定です」と山田さんは、幸先よいスタートを喜ぶとともに、一層の精進を誓う。