山岸さん(前ケ貫)に感謝状 行方不明の高齢男性を保護

松崎署長から感謝状贈呈を受けた山岸さん

 猛暑の中、行方不明の届が出されていた飯能市内の高齢男性(83)を路上で保護し、警察に引き渡すなど、行方不明者の早期発見と人命救助に貢献したとして、飯能署(松崎直樹署長)はこのほど、飯能市前ヶ貫の旭ダイヤモンド産業社長・山岸康範さん(53)に感謝状を贈呈した。

 山岸さんが行方不明の高齢者を保護したのは昨年に続き、2度目。

 山岸さんは7月16日午後4時過ぎ、自身の経営する会社の社員から「会社前の路上に作業着を着た男の人が長時間いる」と連絡があり、会社へ駆けつけた。社員が男性に声をかけた際に「人を待っている」と答えたというので、しばらく様子を見守っていると、男性は自動販売機で飲み物を買った後、近くの寺の方へ歩いていったという。

 だがその後、男性のいた場所を確認すると、現金の入った封筒が落ちていたことから、山岸さんは慌てて男性を追いかけ、封筒を手渡し「大丈夫ですか。誰か迎えに来るの?」などと声をかけた。

 会話の中で男性は、「頭の中で地図が書けない」「駅まで行けば自宅が分かると思う」など、方向が分からない様子だったため、山岸さんは「警察を呼んで、家に送ってもらいましょう」と提案。警察という言葉に、男性ははじめ戸惑った様子を見せたが、会話をしながら安心させ、寺で休んでもらい、飯能署へ連絡した。

 すると、時を同じくして防災行政無線で行方不明者の情報提供を求める放送が流れ、電話口の署員と服装や特徴などを確認。「出かけたきり戻ってこない」と家族から行方不明の届が出されていた男性だったことが分かり、署員へ無事に引き渡した。

 「外は猛暑だったので、熱中症で倒れてはと心配だった。はじめは行方不明の人とは思わなかったので、無事に引き渡すことができて良かった」。

 山岸さんは昨年8月にも会社の近くを何度も行き来する高齢者を見かけ、その後、行方不明者の放送を聞き、本人に声をかけ、警察へと引き渡した経験がある。

 感謝状贈呈式は署長室で行われ、松崎署長は「今回のケースは、猛暑の中、所在不明となった事案であり、対象者の年齢や体調を考慮すれば早期に発見しなければならないものだった。署としても迅速に捜索体制を築き捜索にあたる一方、市町村に協力要請を行い、防災行政無線を放送して頂いた」とし、山岸さんの功労に対し「高齢男性に積極的に声をかけるなど、適切な対応を取って頂き、心から感謝を申し上げる」と述べた。

 感謝状を受け取った山岸さんは「会社が交差点の角にあり、ガラス張りなので周囲の状況が良く見える。当たり前のことをしただけなので恐縮している」と話している。