新人の新井氏が劇的勝利 「市民との対話重視」現職の壁破る
任期満了に伴う飯能市長選挙は11日投開票が行われ、新人で元副市長・元市議の新井重治氏(68)が1万4054票を獲得し、現職の大久保勝氏(68)(1万2177票)を破り初当選した。
保守系無所属同士の現新一騎打ち。「現在の勢いをそのままに」と3選を目指した現職に対し、新井氏は市民との対話を重視した市政運営、自然災害に強く環境に優しいまちづくり、市街地の賑わい創出を標榜、着実に支持の輪を広げ激戦を制した。新井陣営は午後10時20分過ぎ、いち早く情報を入手した大久保陣営の敗戦の弁を受けて当選を知ることとなり、飯能駅北口駅前通りに設けられた選挙事務所に詰めかけた支持者からは拍手と歓声が上がった。
当日有権者数は6万6948人(男3万3260人、女3万3688人)、投票者数は2万6534人(男1万3271人、女1万3263人)で、投票率は39・63%(男39・90%、女39・37%)で、前回を3・13ポイント下回った。
「低投票率では現職有利」との予想を覆し、2000票近い差をつけての劇的勝利。新井氏はまゆみ夫人と共に10時半過ぎに選挙事務所に到着、拍手と歓声に迎えられた。吉田親義選対本部長兼後援会長、前市長の沢辺瀞壱氏、鳥居誠明市議、坂井悦子市議をはじめ、詰めかけた支持者と喜びを分かち合い、花束贈呈や万歳三唱が行われた。
当選の瞬間を「突然、相手候補の敗戦の弁が始まったとの知らせを聞き驚いた」と振り返った新井氏は「皆さんに市長に押し上げて頂いた。42年間の公務員生活で、色々な場面で市民に寄り添い、市民と膝を交えて一つの政策を築いてきた。これが私の政治の原点。対話重視で、市民を裏切ることなく、強い決意を持って、市民のための市政を貫いていく」と決意。
最優先課題について「自然災害に強く、環境に優しいまちづくり、市街地活性化に早速取りかかりたい」とし、「耐震がまだクリアされていない施設も多く、まず耐震化に取り組みたい」「まちなかに賑わいが感じられないというのが皆さんの実感だと思う。商店街、観光、交通などの関係者の方々と、いかに賑わいを創出するか協議を進めたい」と述べた。
また、今回の選挙の焦点の一つとなった阿須山中土地有効活用事業について、「もう一度市として検証をさせて頂きたい。市民への説明会を開き、必要があれば見直しや修正といったこともあり得る」とした。
新井氏を支えた吉田後援会長は「コロナの関係でなかなか人を集めることができず、難しい選挙活動だったが、皆様に地道にやっていただいたおかげ。新しい市政に向け、約束を実現し達成していくことが大切。頑張って欲しい」。
前市長で選対本部顧問を務めた沢辺氏は「誠に嬉しい限り。新井さんは決意をされてから、草の根として一生懸命地域を歩き、多くのご支持を頂いた。現職の壁を破るのは難しいと言われたが、見事に当選を果たし、本当におめでとうと言いたい。市全体のことを考え、舵取りをしていって欲しい」とエールを送った。
一夜明けた12日には飯能市役所で当選証書付与式が行われ、同市選挙管理委員会の島田和孝委員長から当選証書を受け取った新井氏は「改めて責任の重さを感じた。強いリーダーシップを持って、市民の期待に応えるべく全力で取り組んでいく」と抱負を語った。
市長の任期は8月8日から令和7年8月7日まで。初登庁は休み明けの8月10日を予定している。