地域住民の便利な「足」に 飯能市乗合ワゴン

市のイメージキャラクター「夢馬(むーま)」が描かれるなどのラッピングが施された車両

 飯能市は、路線バスなどの公共交通が不十分な精明地区と加治地区で、「飯能市乗合ワゴン」の実証運行を行っている。

 来年1月予定の本格運行へ向けて利用状況を調査・検証することを目的としたもので、運行は週3日、精明地区2系統(精明西コース約11キロメートル、精明東コース約18キロメートル)、加治地区1系統(加治コース約13キロメートル)の3系統。

 誰でも利用可能で、3月10日の実証運行開始以降、高齢者や親子連れなどが通院や買い物などで利用しており、「乗合ワゴンの運行を待っていた」「移動手段が出来て良かった」といった声が市に寄せられているという。

 両地区では、新たな移動手段の導入に向け、住民や関係者によって協議が進められ、その結果、いずれも東飯能駅東口ロータリーを起点・終点とする3コースを設定し、乗合ワゴンの実証運行を行うことに。

 市は「日常の買い物や通院などで多くの皆さんに利用される移動手段となるよう、飯能市乗合ワゴンを地域の皆さんで育てていきましょう」と呼びかけている。

 運行事業者は西武ハイヤー。運賃は大人(中学生以上)200円、小児(小学生)100円、未就学児無料、障害のある人は100円。

 主な停留所は、精明西コースは飯能市役所~平松団地~精明地区行政センター~飯能署~同市役所。

 精明東コースは、飯能市役所~平松団地~芦苅場南~下川崎~平松団地~同市役所。

 加治コースは、飯能市役所~双柳南~加治地区行政センター~加治東地区行政センター~元加治駅~加治東地区行政センター~加治地区行政センター~双柳南~同市役所。

 運行日は、月・水・金曜日の週3日で、祝日、年末年始(12月29日から1月3日まで)は運休となる。運行時間は、午前9時台から午後4時台まで。精明西・東コースは1日2便、加治コースは1日4便となる。

 車両にはラッピングが施され、鮮やかな水色と緑で青空と山を表現し、市のイメージキャラクター「夢馬(むーま)」が描かれている。10人乗りワゴン車で、定員は9人、定員超過の際は、タクシー車両で対応。車椅子利用者は事前予約制となる。

 乗車方法は、①停留所、運行日、時刻表を確認②時刻表の時間までに停留所で待つ③乗車の際、運転士に行先を確認する④運転士に降りる場所を伝え、運賃を支払う(前払い)⑤ワゴンが停留所(降りる場所)についたら、完全に停車するのを待って降りる。

 路線バスのような降車ボタンはなく、また、支払いの際に交通系ICカードは利用出来ないほか、2000円札、5000円札、1万円札の利用不可。

 乗車は停留所で行うが、降車については停留所以外でも運行コース上の自由な場所で出来る「フリー降車制度」を採用した。ただし、飯能署の指導により、安全と認められない場所では降車出来ない場合がある。

 具体的なフリー降車出来ない場所として、国道299号上、法定の駐停車禁止場所、その他、他の車両の通行を妨げるような狭あいな場所やカーブなど見通しの悪い場所、傾斜や路面に段差のある場所。

 停留所の表示については、乗合ワゴン専用停留所(置き型、貼り型)のほか、既存の路線バス停留所を活用した。

 市は実証運行での状況、結果を今年9月頃に検証し、本格運行は令和4年1月頃の開始を予定している。

 多くの市民に活用してもらおうと、「広報はんのう」3月号に使用期限5月31日までの「無料お試し乗車券」を掲載した。無料乗車券を使用する際は、裏面の利用者アンケートに事前に記載する。

 担当する市生活安全課交通政策室は「通院や買い物などで利用出来るよう、運行ルートや運賃の設定などを地域の皆さんと一緒に考えてきた。このワゴンの運行が長く続くよう、地域の資源として意識してもらい、これからも皆さんと共に守り、育てていきたい」としている。

 事前予約が必要な車椅子利用者は、西武ハイヤー飯能営業所972・8198へ電話を。乗合ワゴンについての問い合わせは、市生活安全課交通政策室973・2126へ。