299号のハザードマップポスター 一層の事故防止呼びかけ 飯能署

交通事故ハザードマップのパネルを持つ宗口交通課長

 飯能署管内の昨年1年間の交通事故件数は、人身事故が302件で前年比74件減、物件事故2473件で前年比263件減、死者は4人で前年と同数、負傷者数は373人で前年比101人減だった。

 事故件数、負傷者数は前年に比べ大きく減少しており、同署交通課は、交通安全意識の高まりと共に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛による交通量の減少も要因の一つと見ている。

 一方で国道299号線での死亡事故が絶えないことから、飯能署と飯能地区安全運転管理者協会は、国道299号の「交通事故ハザードマップ」ポスターを作成、一層の交通事故防止の推進を呼びかけている。

 昨年の死亡事故4件は、バイクが3件、自転車が1件で、うちバイクの死亡事故2件が国道299号で起きた。

 また、今年に入り、1月23日には飯能市長沢の299号吾野トンネル内で軽自動車が対向車線にはみだし、大型トラックに正面衝突するなどして軽自動車運転の男性(70)が死亡する事故も発生している。

 299号での死亡事故は長年の懸案事項。同署と安全運転管理者協会が作成したハザードマップのポスターは、中山西交差点から正丸トンネルにかけて、過去10年間の死亡事故19件の発生場所、見通しの悪いカーブや急勾配の場所などをマップ上に示したもの。飯能市、日高市の関係機関や協会に加盟する事業所などに配布し、啓発している。

 同署交通課の宗口義克課長は「299号は見通しの悪いカーブや勾配のきつい地点も多く、カーブでの減速や早めのブレーキなど、特に注意をして運転して欲しい。また、二輪車の関係する死亡事故が多発しているので、十分な安全装備や安全運転を心掛けて欲しい」と話す。

 また、人身事故全体のうち約5割が交差点で発生し、歩行者を巻き込んだ事故が多く、原因はドライバーの前方不注視が多いという。

 「運転をする際は、運転に集中し、周囲の確認を行い、歩行者優先を心掛けて欲しい。また、雨や夜間など見通しや視界が悪い時は、安全確認を徹底し早めのライトの点灯を」と呼びかける。

 ドライバーに対しては特に、歩行者優先の意識徹底を求め、道路交通法38条にちなんだ「KEEP38プロジェクト」を展開。

 道交法38条には「横断しようとする歩行者がいる場合の横断歩道手前での原則義務」と「歩行者優先義務」が明記されているが、県内では、信号機の無い横断歩道を歩行者が渡ろうとしている場面での車両の停止率が全国平均を下回り、横断歩道を横断中の歩行者が被害に遭う交通死亡事故が後を絶たないことから、同プロジェクトを掲げ、歩行者優先義務を遵守して模範運転を励行する取り組みを進めている。

 一方、歩行者に対しても、安全に道路を横断するためのポイントとして、①しっかり「横断意思表示」(手をあげる、差し出す、運転手に顔を向けるなどをしっかりと行う)②いつでも「安全確認」(横断を始める際は、常に左右等の安全を確認する)③じーっくり「他車両の動向注意」(横断中も車の接近や、停止車両の陰から出てくる車両に注意する)④にっこり「会釈でありがとう」(止まった車の運転手に感謝の気持ちを示す)──を挙げている。

 飯能署管内の令和2年中の死亡事故状況は次の通り。

 ▽2月21日午後11時47分頃、飯能市井上の国道299号で、秩父方面から入間方面へ向かっていた男子大学生(19)運転のバイクが左カーブを進行中、対向してきたトラックに衝突し死亡した。

 ▽7月3日午前0時25分頃、飯能市南川の国道299号で、秩父方面から入間方面に向かっていた男性(22)が運転するバイクが右カーブを進行中、道路左側の縁石などと衝突して死亡した。

 ▽8月30日午後6時25分頃、飯能市川寺の県道二本木飯能線の交差点で、秩父方面から入間方面へ向かっていた男性(39)のバイクが右折しようとした軽貨物自動車と衝突し死亡した。

 ▽9月25日午後7時頃、日高市高萩の市道で、男性(55)が自転車で走行中、何らかの理由により道路左側の側溝に転落、死亡した。