縄文土器をパズルに 大宮工業高ラジオ部が製作、寄贈
飯能市の芦苅場遺跡で出土した縄文土器2点をモデルにした「縄文土器パズル」2セット4枚が、市へ寄贈された。土器パズルを製作したのは、県立大宮工業高校のラジオ部の生徒たち。
普段はロボットやロケットを製作し、数々のコンテストで入賞した実績を持っており、今回は、設計や工作機械を扱う技術を習得するために土器パズルに取り組んだという。5日には市役所で贈呈式が行われ、来飯した生徒たちから今井直己教育長らに土器パズルが贈られた。寄贈された作品は、今月中に市立博物館に展示する。
同校は、機械科・電子機械科・電気科・建築科があり、授業で使用する様々な工作機械が設置されている。ラジオ部は、部員41人で活動しており、モデルロケット全国大会で2016年、2017年と2年連続で総合優勝を果たし、フランスで行われた国際大会では世界2位を獲得。今年開催された第8回ものづくり日本大賞では、内閣総理大臣賞を受賞するなど、数々の実績を持っている。
ロボットやロケットを製作するには、複雑な設計図をつくるなど、目的に合わせて様々な工作機械を使いこなす必要があるため、設計や工作機械を扱う技術を習得する目的で、土器パズルを製作することに。
そこで、埼玉県埋蔵文化財調査事業団へモデルになる土器の画像を提供してほしいと相談したところ、平成30年1月から10月にかけて、飯能市内の芦苅場遺跡で実施した発掘調査で出土した土器2点の画像が事業団から提供された。
土器パズルは、縦28センチ、横16センチ。厚さ5ミリの板を2枚重ね、上の一枚を裁断してパズルにしたもの。土器の図はレーザーで加工し、凹凸も表現した。パズルのピースが大きいものと細かいものをそれぞれ2通り製作した。
市役所での贈呈式には、同校の清水雅己校長、顧問の植田大助教諭、水村翔教諭とともに、空谷陽希さん(2年)、石井尋斎さん(1年)、大月遥人さん(1年)が出席。
また、縄文土器の画像を提供した県埋蔵文化財調査事業団の藤田栄二理事長、瀧瀬芳之資料保存課長も同席した。
はじめに清水校長が「出来上がったパズルを見たときに、質感もしっかりしており、まさに瓜二つだと感じた。製作にあたり、多くの皆さんのご協力があった。感謝の意味を込めて、生徒たちから贈呈させていただけたら」と挨拶。
続いて生徒たちから、今井教育長、大野悟生涯学習スポーツ部長に土器パズルが手渡された。受け取った今井教育長は「飯能から出土した土器をこのように活用してもらい、完成したパズルを拝見して感動している。素晴らしいプレゼントをいただき、感謝申し上げる」。大野生涯学習スポーツ部長は「市立博物館に展示させていただく。これを通じて市民の方にも文化財の大切さやなどを認識していただくいい材料になると思う」と述べた。
その後、生徒たちからは「写真だと模様が見えづらく、パワーポイントを活用して画像の線の濃さなどを変えてみたりした。模様などはレーザー加工で出来る」「今の暮らしとは違い、こういったものを使っていたんだと改めて昔の文化・歴史を再確認する機会になった」などと話したほか、ラジオ部の活動についての紹介が行われた。
同席した藤田理事長、瀧瀬資料保存課長も「この質感を表現するのはすごい。非常に精巧に出来ている」などと評価した。