防災計画を大幅見直し 大雪教訓に雪害対策も

0202大雪

[記憶に新しい2年前の大雪。今年もまだ警戒が必要だ]

 日高市は災害への備えや災害発生時の対応、市や関係機関、市民の役割等を定めた「日高市地域防災計画」の見直しを進めており、見直し案に対する市民意見を募集している。

 市が提示した案は、従来の▽総則▽震災対策編▽風水害対策編▽事故災害対策編の4編に新たに▽複合災害対策編▽広域応援編の2編を加えた6編とし、風水害対策編の中に新たに「竜巻・突風対策」を盛り込んだほか、平成26年2月の大雪を教訓に「雪害対策」についても具体策をまとめた。

 前回、平成24年度の改定の際は、東日本大震災を受けて震災対策編の中に帰宅困難者対策、避難時の児童生徒の保護や災害時要支援者への対応、妊産婦や乳幼児のいる世帯への配慮、放射性物質事故災害対策などを盛り込んだ。

 今回の見直しでは新たに、台風時に地震が同時発生するなどの複合災害を想定し代替となる防災拠点・避難所・避難経路・輸送手段、水防活動、情報収集・伝達などを示した複合災害対策、民間や周辺市町村との連携強化、被害情報の収集・迅速な職員派遣、広域避難体制の整備などを示した広域応援。

 また、突発的に発生し局地的に甚大な被害をもたらす竜巻や突風等について市民への注意喚起を行い市民生活に与える影響を最小限にするための竜巻・突風対策を盛り込んだ。

 平成26年2月、市内で最大50センチの積雪を記録し、山間世帯の孤立、カーポートや農業施設の倒壊、多くの車両が路上で立ち往生となり帰宅困難者が発生するなど市民に大きな影響を及ぼした大雪を教訓とした雪害対策については、応急活動体制、情報収集・伝達、道路機能の確保、孤立地区への支援、避難所解説・運営、医療救護、ライフライン確保、地域における除雪協力、長期化する雪害への対応、農業復旧支援などをまとめた。

 大雪のおそれがある場合、市は降雪状況や積雪の予報を市民へ周知し、防災行政無線、緊急速報メール、データ放送など市民への多様な伝達手段の中から有効な伝達方法を選択するとし、市民に対し①不要不急の外出は極力避ける②外出の際は滑りにくい靴を着用するなど歩行中の転倒に注意する③道路の凍結や着雪による自転車・自動車のスリップ事故等に注意する④交通機関の混乱等も予想されるので時間に余裕を持って行動する⑤自動車が立ち往生した場合に車のマフラーを雪が塞いで一酸化炭素中毒にならないようにする⑥安全確保に留意した上で自宅周辺の除雪を行う⑦除雪作業を行う際は足元や周囲に気を配り、転落防止対策を講じることや転倒・屋根雪の落下に注意する──などを呼びかける。

 道路交通の確保については、災害対応拠点施設や病院など市民の命を緊急的・直接的に救助する施設、市民生活に著しい影響を与えるライフライン施設等が機能するために必要な道路の確保を最優先に取り組む。

 孤立地区が発生した場合は地区名、孤立世帯数、人数を知事に報告するとともに、地区代表者と連絡を取るなどして病人の発生の有無、食糧保有の状況等を調査し、救援を要請。ヘリコプター等による医師、保健師等の派遣、医薬品・食糧・生活必需品等の輸送や地区住民全員の避難救助など必要な対策を講じる。

 なだれや大量の積雪による建築物の倒壊により、住家を失った市民や、交通途絶により孤立した地域の市民を収容するため避難所を開設・運営し、必要に応じて被災前の予防的な避難所開設も検討。

 また、農作物等への被害軽減対策として、積雪に耐え得る低コスト対候性ハウスの導入などを検討するとした。

 計画ではこのほか、火山噴火降灰対策として、富士山、浅間山等の近隣火山が噴火した場合、市内でも数センチの降灰が予測されることから、雪害と同様に応急活動体制の確立、避難所の開設運営、医療救護、交通ネットワーク・ライフライン等の応急・復旧のほか、農業者への支援、降灰の処理などをまとめた。

 過去に市に影響を与えた地震には、大正12年(1923年)の関東大震災、昭和6年(1931年)の西埼玉地震、昭和43年(1968年)の埼玉県中部を震源とした地震、昭和63年(1988年)の埼玉県南部を震源とした地震、平成3年(1991年)の日高市女影を震源とした地震があり、将来、市内に被害を及ぼす危険がある地震は、関東平野北西縁断層帯地震、立川断層帯地震、茨城県南部地震、東京湾北部地震、元禄型関東地震の5つ。

 最も大きな被害が想定されるのは関東平野北西縁断層帯地震で、震度6弱、市の被害は死者3人、負傷者87人、全壊42棟、半壊549棟、焼失29棟、避難者217人(1週間後)、帰宅困難者7223人、断水人口1021人としている。

 計画では震災時の「最悪事態(シビアコンディション)への対応」として、実際に大規模地震が発生した際、首都圏長期大停電や燃料枯渇、首都機能の麻痺、大量の避難者や帰宅困難者の発生など、被害想定を超えた最悪な事態が生じる可能性を想定し、阪神淡路大震災、東日本大震災、関東大震災の被害を基に、主な最悪事態を見据えた対策の方向性を示している。

 見直し案は、市役所1階行政情報コーナー、2階危機管理防災課、各公民館、生涯学習センター、市ホームページで閲覧でき、案に対する意見は市内在住・在勤・在学の人を対象に25日まで受け付ける。

 意見は自由様式で、住所、氏名、電話番号を明記し、危機管理防災課へ直接持参するか、郵送(〒350-1292日高市南平沢1020日高市総務部危機管理防災課防犯・消防担当宛)、FAX989・2316、電子メールLink@city.hidaka.lg.jpのいずれか。

 問い合わせは、危機管理防災課989・2111へ。