手作り布マスクを市に寄贈 高萩小6年の後藤さん

 新型コロナウイルス感染拡大防止でマスクの需要が高まる中、日高市立高萩小学校(半田貞晴校長)の6年生・後藤皐裕(たかひろ)さん(12)が11日、臨時休校中に手作りした布マスク40枚を日高市に寄贈した。

 学校から提出されたマスク作りの課題をきっかけに、「たくさん作って誰かに使ってもらえたら」と、ミシンを使ってコツコツ仕上げたもの。色とりどりの布マスクは大人顔負けの出来栄えで、市を代表して中村一夫教育長が受け取り、後藤さんの希望により市立図書館などで活用されることになった。

 後藤さんは5年生の時に家庭科の授業でミシンの使い方を学び、臨時休校中、学校からのマスク作りの課題に挑戦。「自分用に作ってみたら意外と上手にできたので、おばあちゃんの分も作ったら喜んでくれた」ことから、「たくさん作ったら、誰かの役に立つかもしれない」と思い立った。

 後藤さんが手掛けたのは着用すると上下にひだが広がるプリーツ型の布マスク。素材には父親が仕事で扱っているカーテン用の端布を使い、裏側に綿の布を合わせてミシンで縫い、耳かけの部分には入手困難なゴムに代わり、伸び縮みするTシャツ用の布を切って取り付けた。

 はじめは1枚ずつ定規で寸法を図り、布に印をつけて切っていたが、要領良く均等に仕上げるためにインターネットで調べて段ボールで型紙を作り、1日に4枚ほどのペースで製作。作業に夢中になり、約半日、ミシンと向き合う日もあったという。

 「どこかに寄付できる所があれば」という後藤さんの希望を叶えるため母親の小百合さんが日高市役所に問い合わせたところ、危機管理課や教育委員会との調整により市で活用したいと話がまとまった。

 市役所には母親の小百合さん、高萩小の半田校長とともに訪問。新型コロナの影響で休館になる前は市立図書館でよく本を借りていたという後藤さんは「図書館などで市民のために働く人たちに使って欲しい」などと話し、箱に入れた40枚のマスクを中村教育長に手渡した。

 中村教育長は「色もきれいで、とても良くできている」とその出来栄えに感嘆の声を挙げ、「臨時休校という子どもたちにとって辛い状況の中、前向きにやってみようという後藤さんの自主的な取り組みは本当にありがたい。ぜひ有効に使わせて頂きたい」と、後藤さんに感謝状を贈呈した。

 母親の小百合さんは「割と手先が器用で、すぐに1人で縫えるようになった。どこかに寄付したいという希望だったので、受け取って頂きありがたい」と話す。

 マスク作りに打ち込んだ後藤さんは「家にいて何もしないと体がなまっちゃうと思っていたので、マスクをたくさん作ることができて良かった。早く学校に行けるようになって、友達と勉強したり、校庭で遊びたい」と笑顔を見せた。