サイボクの新工場完成 小中児童にウインナー寄贈
豚の育種から加工・販売、レストラン経営等まで一貫した事業展開を行う株式会社埼玉種畜牧場(=サイボク=、本社:日高市下大谷沢、笹﨑静雄社長)はこのほど、記者会見を開き新工場の竣工などを発表した。高度な衛生管理基準HACCP(ハサップ)制度に対応し、これまで以上に「安心・安全・新鮮・出来立て」の精肉、ハム等を生産する体制が整った。この新工場竣工を記念し、日高市内小中学校にウインナーを贈呈、谷ケ﨑照雄市長に目録が手渡されたほか、新商品レバーペーストが発表されるなど、多くの取り組み内容が明らかにされた。
サイボクは、長野県出身の獣医師として第二次世界大戦中、南方戦線に出征した笹﨑龍雄氏(1916~2012年)が、九死に一生を得て帰国後、「食糧自給と増産が自分の使命」と考え、栄養価の高い豚に着目し、昭和21年、現在の日高市内に牧場を設立したのが起源。龍雄氏は、日本の季候風土に適した豚の育種改良から取り組み、サイボク独自の銘柄豚「ゴールデンポーク」「スーパーゴールデンポーク」の開発に成功。
平成9年に、オランダ開催の「国際食肉プロフェッショナル競技会」に初参加し、「クリスタル杯」など受賞。11年からは、ドイツ農業協会(DLG)が主催する「国際食品品質競技会」に毎年参加。DLGは、100を超える厳格なチェック基準をクリアしないと金メダルを獲得できないが、サイボクは、ウインナーやソーセージ等の出品した製品が金メダルを獲得し続けている。今回、新たに21の金メダルを獲得、積み上げた金メダル受賞総数は955個に達した。
サイボクは、育種から加工・販売、レストラン経営まで、保存料や着色料を使わない安全で新鮮な豚肉の一貫生産ばかりでなく、牧場から出るたい肥を有効活用した地域の農家と提携した地場産野菜の直販、日帰り温泉施設の経営まで手掛け、日高の本店施設は、年間400万人が訪れる「食のテーマパーク」に成長。龍雄氏は、平成19年、県から「渋沢栄一賞」を贈られている。
現社長の笹﨑静雄氏は昭和23年、日高市生まれ。46年、大学を卒業後サイボクに入社。50年、直売所の立ち上げに携わり、平成13年、社長に就任している。
ハサップは、製品の安全性を確保するための衛生管理手法で、各国に採用が推奨されている国際的に認知されたもの。30年の食品衛生法の一部改正により、原則としてすべての食品等事業者にハサップに沿った衛生管理に取り組むように盛り込まれた。
新工場は、1階が約3370平方メートル、2階が約875平方メートル。作業内容により3エリアに分割され、湿度と温度管理の徹底、エックス線や金属探知機などの検査体制の充実が図られ、今まで以上に、衛生度と検査精度が向上し、工場と同じ敷地内にある直売所とレストランに直送することで、より新鮮で安全・安心な製品を提供する体制が整備された。
新工場完成を記念し、日高市内12の小中学校の給食用に、ウインナー1万本(生徒一人当たり約2本)を寄贈。贈呈式に中村一夫教育長と臨み、サイボクの3匹の子豚キャラクター「ヨーク」からウインナーの目録を受け取った谷ケ﨑市長は、「日高の子どもたちは、サイボクのウインナーが大好き。健康は食から。心から感謝します」と、満面の笑顔でコメントした。
また、新商品として開発に3年掛けた「レバーペースト」を発売開始。笹﨑社長は、「豚の命を頂くということを受け止め、豚一頭丸々価値ある物として食べて頂けるよう加工したもので、人間の健康に非常に大事な栄養分を含んだあらゆる物に使える商品」と力説。
さらに、DLGでの金メダル獲得数は955個に達したが、笹﨑社長は、「1年だけ金メダルを取ることができても、20年間取り続けるには、良質の原材料を作り上げ、吟味し、よほど技術を磨き上げ続けられる企業でなければできません。サイボクは、種豚の育種からから取り組み、優れた材料を出せる力、使える力を養い、その材料を基に古参、中堅、若手と連携プレーで、安心な製品を提供し続けるための技術伝承の取り組みがコンテストへの参加」と、DLGに出品し続けている意図を語った。
そのほか、今回の新工場竣工と金メダル獲得を記念し、サイボクでは、普段は春夏秋冬それぞれの期間に限定販売の「旬」のウインナー4種(アスパラ・しそ・ゆず・うめ)セット(1パック280グラム)を、金メダル受賞数955個にちなみ955円で販売する。発売期間は5月6日までの大型連休中、ミートショップなど日高の本店内、丸広川越・入間店等の直営各店で販売する。
精肉や加工品の安売り、楽農ひろばでの野菜詰め放題(各1回500円)など多くの催しで、毎年賑わうとこトンまつりは5月3~6日に開催される。
問い合わせはサイボク(電話0120・112・922)。