食のテーマパーク開園へ 能仁寺敷地内に来春
「健康」「発酵」「乳酸菌」を基本テーマに、日本伝統の発酵食品のテーマパーク「ピックルスヴィレッジOH!!!」が2020年3月、飯能市飯能の能仁寺(曹洞宗、代表者:萩野伸治氏)の敷地内に誕生することが分かった。事業主体は、浅漬、キムチ、総菜の製造・販売を事業の3本柱として展開する「株式会社ピックルスコーポレーション」(=ピックルス社、本社:所沢市、宮本雅弘社長)」で、6日にさいたま市内で事業概要が発表された。市道を挟んで飯能市中央公園の北向かい、能仁寺の南東端の敷地約1万平方メートルに、レストラン棟、ショッピング棟など4つの施設を設け、発酵食品を使った食事の提供、物販、体験などを通して、健康に良い発酵食品や乳酸菌の素晴らしさを世界に発信する。
ピックルス社は、昭和52年、(株)東海デイリーとして設立。53年、所沢市内に本社移転。57年、浅漬の生産開始。平成5年、社名を現社名に変更。13年、株式をジャスダック店頭公開。15年、福神漬の老舗八幡屋を子会社化。21年、ヒット商品となる「ご飯がススム
キムチ」発売開始。29年、東証一部上場と着実に業績を伸ばしている漬物業界のリーディングカンパニー。
ピックルス社は、近年製造だけでなく、製造から直接最終消費者に販売まで行うBtoC事業に力を入れており、複合観光施設のテーマパーク設立もその一環で「OH!!!健康・発酵・in飯能」と命名された新規事業。
目的は、通販などBtoC事業を支える情報の発信源と位置づけ、ピックルスグループの認知度を上げ、日本の伝統食品・漬物を始めとする発酵を、来場者に五感で体験してもらうとともに、「OH!!!」という感動と発見が体感できる複合観光施設を運営すること。
建設地が、飯能に決定した理由は、県内を訪れる観光客は県西部域が比較的多い、と分析し、中でも飯能はメッツァ開業や、西武鉄道が飯能駅を改装するなど勢いがある、とピックルス社は判断した。「能仁寺元住職の奥さんの萩野賴子さんに、ピックルス社の社外取締役を6~7年前からやって頂いていることから、能仁寺の敷地内に約1年前から決まりました」と、荻野芳朗会長が経緯を説明した。
「OH!!!」は、発酵、健康、伝統、飯能、能仁寺等キーワードが「oh」の韻を踏んでおり、「OH!!!」という発見、感動を伝えたい、という思いが込められたネーミング。運営に当たる「(株)OH(尾中真二社長)」というピックルス社の100%子会社を立ち上げる予定(3月1日)。
敷地内に、ショッピング棟(150坪)、物販・カフェのピーネカフェ棟(100坪)、レストラン棟(130坪)、体験・ワークショップ棟(60坪)の4棟を建設するほか、イベントスペースとしての多目的広場(約200坪)を設ける計画。
ショッピング棟では、発酵・熟成・国産・無添加にこだわった漬物、全国から厳選した発酵食品の販売、地元飯能の採れたて野菜や特産品を扱う「飯能マルシェ」の運営、テラスで飲食できるテイクアウト品の販売のほか、客の注文に応えて、全国の発酵食品から希望に沿った品を選び提案するギフトコンシェルジュも配置する。
ピーネカフェ棟は、たっぷり野菜と食物由来の「ピーネ乳酸菌」が摂れる「具沢山サンドイッチ」、自家製ヨーグルト、焼き立てスイーツが楽しめるカフェ。スイーツ作りの実演が行われるほか、夏には、屋上でのビアガーデンも企画されている。ピーネ乳酸菌は、胃酸に負けずに生き抜き腸まで届く植物性乳酸菌で、野菜への発酵特性が評価され特許を取得している。
レストラン棟では、地元食材を使い、発酵、熟成、無添加にこだわった和食中心の料理を提供する。個室での法事にも対応する。
体験・ワークショップ棟では、発酵・熟成食品のワークショップや、オリジナルキムチなどの料理教室を開く。発酵に関する展示や、映像上映なども実施する。
さらに、能仁寺とのタイアップを進め、座禅、写経の体験、朝がゆ、精進料理などの提供も検討されており、日本伝統の発酵食品の紹介とともに、日本文化に触れる体験の機会を設け、外国からの訪日客も呼び込み、世界への発信も視野に事業を推進する。
外国人観光客も含めた年間30万人の集客を見込み、売上は初年度7億円、将来的には10億円を目指し、OH!!!の地元となる飯能と埼玉県の地域活性化も目的としている。施設建設には、西川材も使用する。
ピックルス社は6日に、公式サイトwww.oh-hanno.jpを立ち上げ、複合観光施設「ピックルスヴィレッジOH!!!」の概要を紹介している。