発足100周年迎え式典 飯能一丁目囃子保存会
飯能まつりなどで軽快な祭囃子を響かせている飯能一丁目囃子保存会(山本直宏会長)は今年で発足100周年を迎え、このほど飯能市稲荷町の一丁目倶楽部で記念式典を開いた。式典には同保存会や一丁目町内会関係者をはじめ、大久保勝市長、野田直人市議会議長、内沼博史県議、市内各保存会の役員など約80人が出席し、囃子の披露などを通して節目を祝った。
同保存会は大正7年発足。当時、同市下畑出身で一丁目に玩具店を開いた横川久蔵さんが幼い頃に聞き覚えた囃子笛を吹き「笛の名人」と呼ばれ、横川さんに笛を習っていた町内会の青年有志が一丁目囃子連を結成、下畑と同じ流派の双柳囃子連に師事し、囃子を学んだという。
大正9年には総ケヤキ造り廻り舞台付きの屋台型山車を建造。昭和天皇の即位の大礼が行われた昭和3年の「昭和御大典」、同15年の「紀元二千六百年祝典」などで活躍するが、翌16年から20年までの4年間、太平洋戦争のため活動を中断。戦後の21年には青年らを中心に再度囃子の習得に励み囃子連が復活、25年には底抜け屋台が建造された。
同保存会の囃子は神田大橋流。八王子に始まり入間の新久、仏子、飯能の双柳と引き継がれたものを習得した。テンポと歯切れの良さが特徴で、軽快なバチさばきが人々の胸を躍らせる。
久下稲荷神社での囃子奉納をはじめ、46年に始まった飯能まつりに参加し、まちの賑わいに貢献。49年には飯能市郷土芸能保存会設立にあたり、従来の一丁目囃子連から飯能一丁目囃子保存会に改称した。来年は飯能まつりで当番町を務める。
100周年にあたっては、記念誌を制作し、同保存会の歴史や囃子伝承系統図、歴代会長、年間行事、山車、衣装、太鼓、面、踊りなどを写真入りでまとめた。巻頭には山本会長、一丁目町内会の和田毅会長(市自治会連合会会長)、100周年実行委員長の長谷部健さんのメッセージ、一丁目町内会顧問で市文化財保護審議委員会元委員長の加藤義雄さんが同保存会や飯能の祭りの歴史に関する解説を掲載している。
関係者が一堂に会した記念式典では、山本会長をはじめ保存会や町内会関係者が挨拶に立ち、来賓として大久保市長、野田議長、内沼県議が祝福。会員たちによる囃子が披露され、賑やかに節目を祝った。
12代会長となる山本会長は、町内会や関係団体、郷土芸能の保存・継承に努めてきた先人や会員に感謝し、「子どもの頃は太鼓を叩く事や山車に乗るだけでもわくわくした気持ちになった。お囃子を通じて、上下関係や同じ志を持った仲間の大切さを教わった。郷土芸能を守り継承していくのが難しい時代だが、会員一同で守っていきたい」と話している。