飯能に外来「カメムシ」侵入 岩沢運動公園のサクラ
もともと国内に生息していない外来カメムシが、飯能市内の公園で大量に見つかった。発見者は、元飯能市議で自然観察家の嶋田順一さん(65)=岩沢在住=。
このカメムシの正式名は「キマダラカメムシ」。体長は約20ミリと、国内に生息するカメムシの中で最大種。成虫の体色は艶のない黒色で、淡黄色をした直線上のラインが頭部に、背中には同色の細かい斑点が無数にある。
幼虫については全体的に灰色をしており、背面にオレンジ色の斑点が規則的に並ぶ。幼虫、成虫とも一般的なカメムシ特有のツンとした臭いは発しない。
台湾、東南アジアが原産の外来種。国内に侵入してきたのは古く、これまで長崎・愛知・佐賀県、東京都などで分布が確認されているという。
今月5日、所用で岩沢運動公園を訪れていた嶋田さん。グラウンド西側に植えられているサクラの枝幹に、大型のカメムシが大量にいるのを発見。
「こんなに大きなカメムシがいるのに、なぜこれまで気付かなかったのか。何と言う名のカメムシだろう」と不思議に思って調べると、もともと国内には生息していない、外来カメムシのキマダラカメムシだということが分かった。
サクラは、地元住民が集まってより良い地域とするため、各種活動を実践している「加治まちづくり推進委員会」が過去に植栽したもの。
高さ7~8メートルにまで成長し、一帯は加治地区の花見の名所として親しまれている。住民に愛されているサクラに、大量発生しているカメムシ。カメムシが、樹木にどのような影響を与えるか分からないものの、その異様さに驚いて周辺のサクラ34本をチェックしたところ、そのうちの25本にキマダラカメムシがいた。
「カメムシはサクラの樹液を吸うので、大量に発生すると、どう影響があるのか。1本に何十匹もいたサクラもあった」と嶋田さん。
嶋田さんによると、キマダラカメムシが埼玉県内で最初に発見されたのは、平成22年頃と新しい。今回、岩沢運動公園での個体は飯能で最初の確認と思われる。
キマダラカメムシは、逃げ足が速く、人の気配を察すると、木の裏側に回ってしまう。また、注意しないと見落してしまいそうなほど、サクラの樹皮の色や模様に同化している。
「あまり、カメムシには興味はなかった」という嶋田さんだが、「ほかの地区のサクラにもキマダラカメムシが生息している可能性は、否定できない。天覧山周辺のサクラを調査したが、生息していなかった。今後も、サクラを中心にキマダラカメムシがいないか、監視を続けていきたい」と話している。
外来生物法により生態系などに被害を及ぼすものとして指定された生物、特定外来種にキマダラカメムシは、未指定。