大河原観光公衆トイレ供用開始 飯能河原3つ目、高機能
飯能河原上流部の入間川右岸、堰付近に「大河原観光公衆トイレ」が新設され、27日、大久保勝飯能市長らが出席して開所式が開かれ、市議会議員、周辺の自治会長ら出席者にお披露目された。このトイレはこの日から供用開始され、管理を委託された公益社団法人飯能市シルバー人材センターが、入口の開錠施錠を行い、原則1年365日午前8時頃から午後6時頃まで、誰もが利用できる。
飯能河原設置の公衆トイレは、割岩橋下の入間川右岸設置のもの、中央地区行政センター下の入間川左岸設置のものに次いで3つ目。飯能河原の堰付近には、かつて存在した施設にトイレがあったが民間のもので、施設が取り壊されてから、しばらくトイレがなく、付近には、バーベキュー(BBQ)場「リバランタ~ベジQ飯能~」(季節営業)があるほか、BBQを楽しむのに適した河原もあり、周辺住民などは、市や、BBQ場運営会社にトイレの設置を要望していた。
しかし、このトイレの供用開始までには紆余曲折を経た。大河原のトイレが建設される前に、飯能河原下流の割岩橋下の公衆トイレのリニューアル工事計画があり、平成29年度の市議会3月定例会で議決していた。ところが、市の経緯の説明によると、4月の県土整備事務所との打ち合わせの中で、河川区域内のトイレであったため、添付資料等の作成に時間を要する事が判明し、要望もあった大河原の堰付近でのトイレ新築に計画を変更。4月に上良二副市長が「ゴーサイン」、5月に大久保市長が決済し、7月に設計委託、業務委託契約が締結されてから、8月開催の全員協議会で事後承諾の形で議員への報告がなされ、市は、一般質問で議員から見解を質されている。
また、当初大河原のトイレの新築工事は、29年度中に終了する予定だったが、市側の説明によれば、建設予定地に想定以上に樹木の根が張っていたり、汚水管きょ敷設地の地中に、瓶や缶などを含む埋設物が見つかった事などから、工事期間が延び、30年度への事故繰越し措置などを必要とし、6月末からの供用開始になった。
供用開始されたトイレは、木造平屋建て57・34平方メートル、建物内面積は34・65平方メートルで、夏の大雨などの際、観光客の避難等に利用してもらい、強い直射日光による紫外線避けとしても役立てるため、建物周囲に深い軒を設置した。
建物の形状は八角形で、扉なしでも外部からの視線を遮る事ができプライバシーに配慮されている。
柱、梁、壁仕上げの板張りには西川材を使用、木の温もりが感じられるとともに、中央部が高く作られた構造で、日の光が差し込む明るい作りになっている。壁・天井は、湿度の調整効果があり、臭いの吸着特性もある珪藻土仕上げ。
下流側正面に入口があり、障害のある人ばかりでなく、子ども連れでも利用可能で、人工肛門や人工膀胱の人も使う事ができる多目的トイレが設置され、向かって左側が女性用トイレ入口、右側は男性用。女性用には、子ども連れで利用しやすいように幼児用小便器が設置され、パウダーコーナーもある。男性用小便器は自動洗浄。
季節によって周囲でBBQを楽しむ人も多い事から、トイレ入口反対側の外には、BBQ用洗い場を2器設置。食べ残しの食材等で配管のつまりが起きないようにメンテナンス性に優れた構造になっている。
入口のシャッターは、シルバー人材センター職員が朝晩施錠開錠管理する事から、施設内部を夜間犯罪などに使われる恐れはないが、BBQ用洗い場は、施設外にあるため、夜間深夜までBBQを行ったり、花火などで騒いで近隣住民に迷惑を掛ける人に悪用される可能性もある。このため、市の担当課では、天覧山下の中央公園内の水飲み場のハンドルが取り外されるのと同様に、夜間から早朝までの間、BBQ用洗い場が使用できなくなる措置を講ずるという。
開所式には、大久保市長、野田直人市議会議長、市議、周辺自治会長らが出席。
大久保市長は、「立派な扱いやすいトイレを作る事が、この時代の観光施策。女性と子どもに優しいまち、日本一の観光を標榜する市に取って、女性と子どもに優しいグレードの高い立派なトイレができました」とあいさつ。
また、野田議長は、「飯能河原には、年間10万人の観光客が訪れている。このトイレがいかに観光客に役立つ事か、県、市長、議会、地域住民一体となって、飯能河原の観光振興につなげていきたい」と、語った。
尚、トイレの路盤面から飯能河原側は、土止めとして石をかご状の物につめた「ふとんかご」という工法で「石垣」状に3段積み上げられ、高さ1メートル50センチ強高くなっている。ふとんかごにトイレ利用客等が乗る事は想定されておらず、転落防止策としては、高さ80センチ弱の細い棒が、4メートル以上の間隔で設置され、緑のロープが1本渡されているだけ。懸念される点として、今の所防護柵を設置する計画がないので、子どもや酔客は、うっかりふとんかごの上に乗って足を取られないように注意する必要がある。また、トイレへのアプローチ等を舗装する予定はないため、周囲は砂利道で角度がある所もあるので、車イス等で利用する際は、介添え者と行動する事が推奨される。