飯能市民への返礼品 「大晦日」で贈呈終了
飯能市が同市民に対して贈呈していたふるさと納税での返礼品が、今月末日での納付受け付けを最後に廃止される。ふるさと納税制度の運用について、是正を求めた今年4月1日の総務大臣通知を受けての対応。市によると、地元市民への返礼品贈呈廃止による返礼品目当てのいわゆる〝駆け込み寄付〟現象は、今のところ起きておらず、逆に市民からの寄付件数については昨年と比べて減少傾向にあるという。
故郷や地方自治体を応援する気持ちを形にする仕組みとして、平成20年度に創設されたふるさと納税制度。
各自治体とも、地域の魅力的な特産品を返礼品に用意。ところが、近年は自治体間の返礼品競争が一層過熱し、高額な品物や、換金性の高い返礼品が用意されるなど、同納税制度の趣旨に反するような行為が一部の自治体で見られていた。
こうしたことから総務大臣は今年4月、「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」とする通知を各自治体に通知し、ふるさと納税制度の趣旨に則った適正な運用を求めた。
大臣通知は、返礼品の送付を強調してふるさと納税を募集することは慎む、返礼品として3割を超える返礼割合のものを送付している地方団体については速やかに3割以下にすることのほか、ふるさと納税の趣旨を踏まえ、各地方団体は当該地方団体の住民に対して、返礼品を送付しないようにすることなどを要請した。
「現在は生まれ育った故郷を離れているが、その故郷に納税して、育ててくれた恩返しをしたい」「あの自治体の取り組むまちづくりの姿勢に共感、応援したい」などというのが、ふるさと納税本来の姿。
地元に住みながら、その地元自治体にふるさと納税で寄付をすることについて、国は制度の目的に合致しないと判断した。
これにより、市は飯能に居住する地元市民からのふるさと納税への寄付は従来通り受けるものの、返礼品の贈呈については12月31日で取り止める方針を決定した。
市によると、平成28年度のふるさと納税寄付件数は7440件、金額にすると約1億6751万円で、このうち飯能市民からの寄付については862件、約2000万円という。
4月の大臣通知を受け、飯能市が地元市民への返礼品廃止のお知らせを市報に掲載した以降、飯能市民からの寄付については減少傾向にあり、駆け込み的な寄付行為は、今のところ見られない。
昨年の4月1日から12月15日までの間における市民からの寄付は582件、約1272万7000円。一方、今年同期については450件、約1043万2000円となり、前年実績より落ち込んでいる。
市役所窓口でのふるさと納税への寄付金納付については、仕事納めとなる今月28日が最終。が、インターネット上では曜日、時間帯に関係なく行えるため、年が変わる前日までネット経由で寄付をした市民については、返礼品贈呈の対象となる。
ふるさと納税についての問い合わせは、飯能市賑わい創出課978・5093へ。