女子サッカーのまちへ 飯能市とエルフェンが協定

協定書を手にする大久保市長(中央)と、同クラブの西山裕彦理事長(右から3人目)ら関係者

 女子サッカー1部リーグ(愛称・なでしこ)に所属する「ちふれASエルフェン埼玉」の運営・育成を行っているNPO法人エルフェンスポーツクラブと飯能市が7日、同市役所で「連携協力に関する基本協定(ホームタウン協定)」を締結した。

 同チームのメーンスポンサーは、ちふれ化粧品(本社・川越、片岡方和社長)。同クラブが、ホームタウン協定を結ぶのは、チーム発足の地、狭山市に次いで2都市目。この協定締結で、同クラブはサッカー教室の充実などを通じて、飯能市民に地元の球団という意識を高めてもらい、市も自主的な応援団組織などを積極的に呼びかけ、飯能はホッケーばかりでなく、女子サッカーの街という認識も市内外に定着させていく事を狙っている。

 同クラブの前身は、昭和60年、地域の少女チームとして狭山市で活動開始。平成14年、日本女子サッカーリーグに加盟。16年、NPO法人の同クラブが設立され、地域総合スポーツクラブとして、スポーツなどを通して地域貢献活動を行ってきた。

 ちふれ化粧品は、同社の女性支援活動の一環として22年から同クラブを支援。23年、スポンサーシップ契約締結。27年、飯能市茜台の大河原工業団地内に、同社が福利厚生施設(研修センターとグラウンド)を開設した事から、同チームのトップチームの練習拠点は同地に移り、昨年、命名権契約が結ばれ、同クラブが運営するサッカーチーム名が、ちふれASエルフェン埼玉に改称された。今シーズンは1部リーグ昇格を果たしている。

 同クラブでは、ちふれの本社工場が川越にあり、トップチームの練習拠点が飯能、発祥地と下部組織の練習場所が狭山にある事から、県南西部地域にホームタウンをつくることを構想。大久保勝市長が、8月に宮城県で行われた同チームのアウェーゲームを観戦した事をきっかけに、狭山に次いで、飯能市をホームタウンにする話が具体化、この日の協定締結に至った。

 協定は、8か条からなり、「スポーツ振興」「青少年の健全育成」「地域振興」に関する事業などを協力して進めて行くことをうたっている。有効期限は30年3月末日で、以後は両者の一方から解約の申し出がない限り1年ごとに延長される。

 同クラブは、今年から週1回、同市で幼稚園児と小学1・2年生を対象に、サッカー教室を開講し、ツーデーマーチや飯能まつりへの参加などを通じて、市民との交流を図っている。協定締結により、小学高学年向けのサッカー教室の開始、名栗地区で選手も参加してのサッカースクールの開催など、サッカーに興味を持つ子どもたちに向け、底辺の拡大を図ると共に、地域イベントや、物産展への協力などにも積極的に取り組んでいくことにしている。

 同チームは、今シーズンは10位中9位だったため、セレッソ大阪堺レディースと、12月9日(大阪)、16日(川越)に入替戦を行う。

 大久保市長は、「幅広く横断的に縦横無尽に声を掛け、市を挙げて目標1000人の大応援団を組織し応援する。結果に関係なく、応援のモチベーションを下げることはない」と意気込みを語った。

 この日、市役所を訪れたキャプテンの中野里乃選手は、「強い相手だが、チーム一丸となり自分たちのサッカーができれば」と、冷静ながらも闘志を見せた。

 同市は、協定締結を受けて、この入替戦を手始めに同チームのホームタウンとして盛り上げていくため、12月の市の広報に入替戦の情報を掲載する。今後、チームの支援体制作りに取り組んでいく事にしている。また、同クラブも、1216日の入替戦に同市民の大応援団が詰めかけることを願い、試合の招待券を市に託す事にしている。