「西の川から来る木材」 時を経て再び、東京へ
飯能市と東京都港区は20日、間伐材を始めとした国産材の活用促進に関する協定に締結した。同協定に基づき、港区は区内の建築工事に飯能市内から産出されたスギ・ヒノキの使用を推奨する。同区役所での調印式には市から上良二副市長が出席し、武井雅昭区長と協定書を取り交わした。
同協定は、港区が平成23年10月に施行した、建築物への国産木材の使用を推進する「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」に基づくもの。
同制度では、港区と「間伐材を始めとした国産材の活用促進に関する協定」を締結した自治体から産出される木材の使用を推奨しており、市内の事業者からこの制度の有益さを伝え聞きいた飯能市が区側と協議し、協定締結に至った。
木材使用の義務付け(努力義務)となるのは、区内で行う延床面積5000平方メートル以上の建築工事。港区で飯能市の木材を使用した時は、二酸化炭素吸収量を増やすための木材切り出し後の再植林と間伐等の適切な森林整備を、木材供給側の飯能市は行わなければならないことも取り決められている。
港区は、今回の飯能市を含め全国77自治体と同制度に基づく協定を結んでいる。平成23年10月の制度施行から今年29年3月末までに94件が認証され、区内では協定締結自治体から産出された木材として、約2320立方メートルが使用されているという。
港区と協定を締結した自治体は県内では秩父市、県外では山形県金山町や奈良県吉野町など、林業どころが主。強力な自治体に囲まれた中での港区への木材供給自治体となった飯能市だが、「西の川からやってくる木材」と持てはやされ、江戸のまちづくりに用立てられた歴史がある。
市は、「西川材の活用促進を通じて、林業・木材業の活性化と低炭素社会の実現に貢献したい」と、時を経た現代の新たな木材流通システムに期待をかける。
協定自治体からの木材の供給業者については登録が必要となり、飯能市は今後、登録事業者を市内から募る。