一部で環境基準満たさず 入間川など3河川水質
「緑と清流のまち」を標榜する飯能市は入間川、高麗川、成木川の主要3河川10地点でそれぞれ年6回、河川水を採水して水質に異常がないか定点測定を行っているが、平成28年度水質調査では、大腸菌群数と入間川の最下流調査地点1か所で生活環境の保全に関する環境基準(BOD)を上回った。ただ、それ以外の項目については環境基準を達成した。
公共用水域の水質調査として、ph(水素イオン濃度)、BOD(生物化学的酸素要求量)、DO(溶存酸素量)、SS(浮遊物質量)、大腸菌群数の生活環境項目について、3河川計10地点で測定しているもの。
測定地点は、入間川が上流から順に①中郷橋下②弁天河原③開運橋下④上赤沢バス折返場⑤小岩井取水堰下⑥割岩橋下⑦阿岩橋下、高麗川が①坂石橋下②東吾野橋下、成木川が①清川橋下。
調査項目のうちBODは、水中の有機物などを分解するために微生物が消費する酸素の量を表したもので、この値が高いほど水質が悪い。河川水質汚濁の指標の一つとなるこのBOD(平均値)についてみると、入間川は調査最下流地点の「阿岩橋下」以外を除いた6地点で、1リットル中0・5~0・6ミリグラムとなり、環境基準の1リットル中2ミリグラム以下を満たした。
高麗川2地点、成木川1地点についても環境基準を達成した。
生活環境の保全に関する環境基準を達成しなかった入間川阿岩下のBODは平均2・7ミリグラム。5月23日から29年3月1日までの間に6回測定し、最小値0・8、最大値は3・7ミリグラムだった。
こうした調査結果は、先に富士見公民館で開かれた市環境審議会(伊藤雅道会長)で事務局を担当する市環境緑水課から報告された。
環境審では、阿岩橋下調査地点での環境基準をクリアーしないBOD測定結果について、委員から「阿岩橋下の数値が高いのはなぜか」といった質問が出され、これについて担当課は「下流になると、排水の流入が多いので、BODが高くなる」などと説明した。
同地点については、平成27年度の平均値として1リットル中4・1ミリグラムの高い値を示しており、28年度は前年度数値を下回ったものの、何年も他の9地点のBOD値を大幅に上回る現象が続いている。
この問題を巡っては、昨年の環境審の場で、委員から阿岩橋上流の成木川沿いで稼働する市下水処理施設の浄化センターから出る同河川への放流水との関係性を指摘する意見が出された。そうしたこともあり、今審議会では担当課が「浄化センターと環境センターからの放流水のBODは、環境基準を下回っている」などと報告した。
入間川や高麗川などの河川における大腸菌群数の環境基準は、100ミリリットル中1000(菌の固まり。コロニー)以下と定められている。10か所の調査地点での大腸菌群数(平均値)は、1300~8800となり、全ての地点で基準値を超えた。
大腸菌群は、人などの腸管に生息する。そのため、河川で大腸菌群の測定結果については、し尿による汚染が考えられるが、担当の環境緑水課は入間川や高麗川などでの基準値を超えた大腸菌群数については「人的なものではなく、土壌や樹木など自然界に由来するもの」と説明している。