施設検討の組織立ち上げへ 広域飯能斎場組合議会で大久保市長見解示す
飯能・狭山・日高の3市で構成される広域飯能斎場組合議会の8月定例会(議長・鳥居誠明飯能市議)が17日、飯能市役所で開かれ、同市議会から選出されている平沼弘、松橋律子両議員が通告に基づいて斎場業務に関する一般質問を行った。開設から36年が経過している広域飯能斎場。火葬施設の耐久年数もあり、平沼議員は新施設整備へ向けての準備の必要性について質した。答弁の中で管理者の大久保勝市長は、検討を行うための組織を今年度中に立ち上げる考えを示した。
飯能市、狭山市、日高市の3市で構成された一部事務組合の広域飯能斎場組合によって運営されているのが、広域飯能斎場(飯能市飯能948番地の3)。
一部事務組合は、複数の地方公共団体が行政サービスの一部を共同で行うため、設置する組織。斎場組合については火葬場、葬祭場の設置、維持管理などの事務を共同処理している。
一部事務組合には、自治体同様に執行機関と議会が設置され、広域飯能斎場組合の執行機関については管理者を大久保飯能市長が務め、副管理者に小谷野剛狭山市長と谷ケ﨑照雄日高市長。組合議会については議員定数8人で、飯能・狭山市各3人、日高市2人の構成。定例議会の開会は2月、8月の年2回。
同組合の事務は3市の派遣職員(3人)で行われており、職員は派遣元の市と広域飯能斎場組合との身分を併任している。
今定例会では、管理者の大久保勝飯能市長から平成29年度広域飯能斎場組合一般会計補正予算案など2議案と認定1件の3案件が提出、いずれも承認された。
一般質問には平沼、松橋両議員が登壇。平沼議員は斎場施設の現状、今後の対策について。松橋議員は臨時駐車場、接客業務等火葬業務等の契約、指定管理者制度の考え方について質問を行った。
このうち、平沼議員は広域飯能斎場も近年、施設の老朽化に伴う不具合やバリアフリーなど施設改修を行う必要性が出てきており、新施設建設も話題になっていると指摘し、まず飯能斎場の現状について質した。
大野勝事務局長は5か年施設整備計画に基づいて通夜室、待合室の増設、大型火葬炉の増設、外壁・屋上の防水改修、葬祭場改築など行ったほか、整備計画以外の部分についても修繕をしたと答弁。施設全体に「経年劣化の傾向が見られる」とした。
また、火葬炉の稼働日数については、「友引の日」と年始等を除いた300日で、1日当たり最高11件の火葬を行った。年間3300件の対応が可能だが、実績は2903件だったので、稼働率は約88%──などと答えた。今後の需要に対しては「現在の6基の火葬炉では能力的に限界に達する状況になろうかと推測され、決して十分な対応ができるものではないと考える」と述べた。
続けて平沼議員は、自身が調査した石岡地方斎場組合運営の石岡地方斎場(茨木県石岡市)、秩父広域市町村圏組合運営の秩父斎場(秩父市)など県内外5施設の計画から建設までの所要年月日に基づいて作成した〝平沼プラン〟広域飯能斎場施設建設計画案を提示。火葬炉の耐久年数が50年と言われていることもあり、施設更新に向けてどのように考えるか、大久保市長に見解を質した。
答弁に立った同市長は「広域飯能斎場については施設の老朽化等の傾向が見られるとともに、施設の建設当時とは社会情勢が変化しており、葬儀の形が多様化していることなどを勘案し、斎場施設の整備方針を決定すべき時期にきている」との認識を示し、「現在の施設に修繕を加え維持管理していくのが良いのか、施設の新設・更新等を行うのが良いのか、そういったゼロベースからの検討を行うための組織を今年度中に立ち上げたい」とした。
広域飯能斎場組合の建物は、鉄筋コンクリート造2階建てで、延床面積は1570平方メートル。敷地面積は約1万700平方メートル。1階に葬祭場・通夜室・火葬炉(6基)・収骨室・告別ホールなど。2階に待合室6室・遺族控室・僧侶控室などがある。
受け付け時間は午前8時半から午後5時15分まで。休業日は1月1日から3日及び友引の日。火葬場の費用は組合の住民(満12歳以上)が5000円、その他が6万円。
平成28年度の火葬利用件数は前年度を35件上回る2888件。構成市別では飯能市民839件、狭山市民1254件、日高市民481件の利用があった。