飯能河原などへ遊歩道整備案 3つのエリア分け、癒しの親水空間
第5回「飯能河原利用調整協議会」(吉田行男会長)が飯能市役所で開かれ、飯能河原など市内を流れる入間川岸に整備される遊歩道の概要案が示された。整備対象範囲は、同市大河原と永田にまたがる吾妻峡から、西武池袋線飯能駅南口から徒歩約6分で同市稲荷町から矢颪を結ぶ矢久橋付近までの全長約2キロの入間川。これを3つのエリアに分け、遊歩道を中心に、癒しと水に親しむ水辺空間を創出する。
飯能河原を中心とする入間川周辺は、天覧山とともに、緑と清流のまち・飯能市民の心のよりどころであるとともに、メッツァ、トーべ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園を結ぶ都市回廊空間の中核。
同協議会は、市民の誇りであり、観光立市を目指す飯能の命運を握る飯能河原など入間川岸の保全と利活用を目的に、審議・検討し事業計画を決定する機関。
都市及び地域の再生などに資するため、河川敷での営業活動などを協議する「水辺空間とことん活用プロジェクト」と、川の再生に取り組む「川の国埼玉はつらつプロジェクト」の2つの事業について審議し決定する役割を持つ。両プロジェクトとも県の事業。
今回の協議会の主要議題は、委託を受け調査したコンサルタント会社の上流から下流域に至る遊歩道整備計画案に基づき現況確認を行い、整備計画の概要決定に向け審議・協議を行う事。
整備案では、吾妻峡の中平河原への進入路から飯能河原上流側堰までを、自然のままを維持しくつろぐことが出来る「上流エリア」とし、同側堰から割岩橋までは、利活用を図りながら水辺に親しめる「飯能河原エリア」に設定、割岩橋から矢久橋に至る地域は、景観の良さに重点を置いた「下流エリア」と定義し、それぞれのエリアの特性を活かしながら、遊歩道でつなぐ。
上流エリアは、河道内に飯能河原に続く散策路を整備するほかは、ほとんど自然に手を加えない。
最も有力な案は、中平河原への進入口から河原に下り、右岸を数十メートル下り、新たに建設される飛び石橋(ドレミファ橋のような橋)を渡り、左岸側を約100メートル下り、整備中の飯能大河原線の橋りょうをくぐり、その下から遊歩道を約100メートル築造工事、それから約100メートル下流に飛び石橋を設け、右岸に戻り岩根橋の下を通って飯能河原に抜ける整備案。二つの飛び石橋を架橋するほか、既存の遊歩道に加え、3か所延長約360メートルの遊歩道を新たに作る。
遊歩道の幅は、二人並んで歩ける程度の1・5メートルとし、コンクリートは避け盛土など自然に馴染む形式とする。
飯能河原エリアは、イベント的活用を考え、老若男女に取って安全な空間として整備する。最有力案は、ボート場の堤から左岸側を下り、桜樹が植わっている辺りの約30メートルの区間に座って休める場所として張り出し型のデッキを設置。飯能河原のほぼ中央部に、車イスでも通行できる幅で、増水時に流れる、総延長60メートルの流れ橋を建設。流れ橋を渡って右岸を散策した後、割岩橋を渡り左岸に戻り、階段を降りて左岸から下流エリアに達する。
飯能河原の既存の右岸遊歩道は合計220メートル、左岸側の既存の遊歩道は490メートルで合計710メートル。
問題点としては、張り出しデッキを建設する際、一部の木を伐採する必要があること、割岩橋の左岸側に降りる階段が急なため、途中から階段を新設する必要がある。
下流エリアは、割岩橋の階段を降りてから、矢久橋付近までの区間。河川沿いを全区間歩く事が出来、トラスト地の河岸林も望めるため、自然を満喫できるメリットがある。飛び石橋を2か所に設け、2つ目の飛び石橋から矢久橋付近までの区間350メートルは遊歩道を新たに築造する整備案が最有力案。治水上可能な限り子どもも渡れるように配慮し、流れの早い瀬や、深い淵を避け、飛び石の間隔にも配慮する。さらに、川の半ばに土砂が堆積し出来た中洲を、防災上及び景観上から撤去することが提案された。このエリアの懸念事項は、下流側では新たに護岸を設置し、現状の川道を改変するため、治水上の影響があることと、河川を飛び石橋で横断する際、増水時の利用のリスクがある。
コンサルタント会社の報告を受けて、委員からは、下流域付近のトラスト保全地への影響懸念、遊歩道の工法などについて、疑問や提案が出された。整備案に対する、委員やアドバイザーからの意見・提案の締め切り日が、当初18日に設定されていたため、市民に諮るだけの時間的余裕がないとして、委員が再考を促し今月末に再設定された。
その他、遊歩道への動線や、飯能の街作りとの有機的な連携の必要性などについて要望や質問があった。
各委員は、所属する商工会議所、各自治会、まちづくり推進委員会、はんのう市民環境会議(木川一男会長)などに、今回提案された整備案を持ち帰り、市民に説明し31日までに整備内容、散策路のルート・整備工法等への意見を提出する。
ほかに、この日の協議会では、とことんプロジェクトについても報告が行われ、飯能河原を利活用する(一社)奥むさし飯能観光協会(柏木正之会長)と、フィンテックグローバル社(玉井信光社長)が事業の実施状況を説明した。
同協会が運営する飯能河原ステージ広場(ウッドデッキ)では、今春「カールヴァーンプレオープンIN飯能河原G・W・ビアフェスト」がゴールデンウイーク期間中に開催され、営業日7日間合計で2270人が来場し11万2000円の売り上げがあったことが報告された。
フィ社は、8月4日から10月31日の期間、昨年に引き続きバーベキュースポット「リバランタ」を営業する事を発表。今年はキッチンカーを使用し、一人3000円(税込み)のバーベキューセットに特化し、オプションでステーキ肉セットの追加や、ビール、ソフトドリンクを提供するという。
協議会では、8月末までに寄せられる市民からの意見・要望を踏まえ、各エリアの遊歩道整備計画を決定し、今年度中の着工を目指している。
協議会終了後、はんのう市民環境会議は、この遊歩道整備案を説明し意見を求める「飯能河原周辺の遊歩道計画(案)に対する説明と意見募集の会」を、18日午後7時から富士見地区行政センターで開催する。