豊かな発想で空間創出 浅見純一さん

 

大賞を受賞した浅見さんたちの作品

 「職人としての腕や自分らしい発想を磨き、人々の暮らしが豊かになるような作品を作り続けたい」。そう語るのは、5月に行われた第19回「国際バラとガーデニングショウ」のガーデン部門で大賞(国土交通大臣賞)を受賞した日高市野々宮の「A-TECH DESIGN(エーテックデザイン)」の造形デザイナー・浅見純一さん(37)。得意分野のモルタル造形に植物を融合させ、豊かな発想で自身の憧れる庭の姿を具現化し、高い評価を得た。

 住宅や店舗、商業施設などのモルタル造形、ペンキや小道具を使用してサビや傷などの経年変化を表現するエージング塗装などを手掛ける浅見さんは、子どもの頃から絵を描くことや工作が好きで、テーマパークの構造物に魅せられ、「絵で描いたものを立体的に作りたい」と10代で造形の世界に飛び込んだ。

 独学で試行錯誤を繰り返し、他にはないアイデアを模索。次第にその技術と独自の発想が認められ、ガーデニングを含め幅広い分野で活躍するようになった。

 今回、浅見さんが仲間とプロジェクトチームを組んで応募した国際バラとガーデニングショウのガーデン部門コンテストは、日々の暮らしを心豊かにする「ライフスタイルガーデン」をテーマに、プロ・アマを問わず募集したもの。

 浅見さんたちの応募作品は「もうひとつの未来」と題し、生活感のある庭と森を感じさせる夢の中の庭という異なる2つの庭をアーチ状の造形物を挟んで行き来できる空間を創出。一次審査通過後、会場で11平方メートルのスペースに作庭し、見事に大賞を受賞。来場者の注目を集めた。

 ショウ終了後には、日高市役所を訪れ、谷ケ﨑照雄市長に受賞を報告。実際に会場で作品を見たという谷ケ﨑市長からは「私も花が好きで会場に見に行った。大変素晴らしい作品で、大賞受賞は市にとっても大変名誉なこと。浅見さんの今後の一層の活躍を期待したい」と激励を受けた。

 「モルタル造形という無機質なものと植物などの有機質なものを組み合わせることで、より素晴らしいものになると思っている。自分が憧れる庭を作り、それが認められ大賞を頂けたというのは本当に嬉しい」と振り返る浅見さんは、「人々の日々の生活が潤い、楽しくなるような作品を心掛けている。さらに腕を磨いて自分らしい作品に挑戦していきたい」と話している。