常設展示をリニューアル ビジターセンター化機能も
飯能地方の歴史や民俗、考古に関する資料を収集・展示するとともに、郷土への愛着意識を高めるなどの各種事業を行っている飯能市郷土館(飯能)。
市は、宮沢湖への「メッツァ」、飯能河原・天覧山周辺、あけぼの子どもの森公園の3点の観光ゾーンの機能を高め、来訪者を呼ぶ込む、市の地方創生事業の主要柱「都市回廊空間整備事業」の一環として、同館の常設展示を刷新する。計画では、春以降臨時休館して改装工事に入り、年内の完成を目指す。
平成2年4月にオープンした市郷土館は、今年で開館27年を迎えた。同展示室の地形模型は、遺構などの所在地を点灯して示す照明が機能しないなど、全体的に常設展示資料の劣化が生じている。
建物は鉄筋コンクリート造2階建てで、床面積は約1500平方メートル。1階に資料収蔵庫、特別収蔵庫、燻蒸室など。2階に改装が決定した常設展示室、特別展示室、エントランスホール、学習室などが設けられている。
改装計画では、飯能河原・天覧山周辺の自然や、まちの魅力を発信する機能を充実させ、郷土館見学者を飯能河原・天覧山、まちなか、さらには山間地域へと導く拠点施設とすることを基本方針にして、関連資料を配置する。
具体的には、飯能河原・天覧山周辺に生息・分布している代表的な動植物を紹介する。また、郷土館に訪れたその時期に、現地に行くと観察できる草花、野鳥などの写真等をパネル展示して、季節ごとの自然を堪能できるような仕組みも、新たに導入する。
まちなかへの賑わい創出も郷土館の役割との考えから、明治時代の「大通り」(中央地区行政センターから広小路付近)の模型を、150分の1の縮尺で製作する計画。絹織物が集められ、市で取り引きされ、活気づいていた、この時代の大通りの景観模型を展示することで、来館者の「絹甚」など古い商家への訪問意識を誘発したい考えだ。
これまでの同館の常設展示は、館内で学習が完結していた要素が強いが、改装後は外へ誘導する、逆に外から館に人を呼ぶ込む展示内容とする方針。
スギ・ヒノキを育て、間伐までの工程に必要な道具、山林からの木材搬出に用いる木製レールの「ソリ道」などを展示した「西川林業コーナー」については手を加えずに、現在の展示状態を保つ。
同館の平成2年度オープンから同26年度までの年平均入館者数は、約2万9045人。1日平均約98人が足を運んだ。