住民の「足」確保 横手台自治会でデマンド交通
日高市の横手台自治会(丹昭会長)で、自治会が自家用自動車を運行し地域内で乗り合い交通サービスを行う日高市地域自主運行事業「横手台自治会デマンド交通」がスタートした。
約1000世帯が生活する横手台団地は、車を使用しない高齢者など住民の交通手段の確保が課題。事業開始にあたっては、市から車両購入費の補助を受けて車両を購入し、同事業により住民生活の利便性向上と地域コミュニティの活性化を目指すとしている。
同市地域自主運行事業は、道路運送法の規定に該当しない範囲で自治会が自家用自動車を運行し、地域内での乗り合い交通サービスを行うもの。
市は平成25年度に同事業の具体的な検討を開始し、市が車両の運行経費を自治会へ支出することは法の規定に抵触する恐れがあるとの国の見解を受け、車両の購入費用を支援する方向で検討を進めてきた。
昨年8月に事業の定義、道路運送法との整合、既存の路線バスの営業に影響を与えることのないよう配慮することなどを規定した日高市地域自主運行事業補助金交付要綱を制定。
同要綱に基づき、横手台自治会で初の地域自主運行事業が行われることになり、市と自治会の間で協議を重ね、実証試験を経て開始に至った。
自治会は車両購入費補助金として300万円の補助を受け、7人乗りハイブリッド車を購入。住民に愛称を募集し「ふれあい号」と名付けた。車両の維持管理は自治会で行う。
運行は月~金曜日の1日5便とし、事前予約制。申し込み利用者が無い場合には運休となる。
運行ルートは、横手台自治会館から利用者宅を経て、木綿沢バス停、武蔵台公民館、フレンド幼稚園、武蔵台郵便局、包括支援センター、武蔵台病院のうち希望する場所へ向かう。道路運送法の枠外での運行となるため、運賃は徴収しない。
横手台自治会館で行われた開始式には、谷ケ﨑照雄市長、福島謙治飯能署長、地元の稲浦巖市議らが出席し、テープカットや市長からの目録贈呈、愛称発表、車両出発式などが行われた。
開始式で谷ケ﨑照雄市長は「高齢社会を迎え、日高の人口の約30%が65歳以上。団地の高齢化率は市の平均を上回っており、交通の問題が今後の大きな課題。私の両親も数年前に免許を返納したが、説得するのはなかなか大変だった。家族の送迎ができない世帯は深刻。この事業は道路運送法により、お金を徴収してはいけない、バス路線と並行して走ってはいけないなど色々な規制があるが、法の範囲内で利用が進むのは素晴らしいこと。大勢の方にご利用頂き、同事業が長く続くようにお願いしたい」と期待を込めた。
横手台自治会の丹会長は「デマンド交通はこの地域にとって非常に大切であり、関係者の方々と1年半にわたり協議を進めてきた。その念願が叶い開始を迎え、大変嬉しく思っている。今後は地域の皆さんへのPRに努め、できるだけ多くの方に利用して頂きたい」と抱負を述べた。