飯能弁を後世に残す 中央公民館で楽しむ会

飯能弁を思い出しながら思い出話に花が咲く

 「今日は、たっぺもなく、あじょうにも風がなくて良かった。かてめし作るから、その間こんたれる前に、とぼお出て、かくねっこでも、とうせんかんばでもして遊べ」。

 飯能市飯能の中央公民館で、月1回木曜日に、「飯能弁を楽しむ会」が開かれている。来年には、「飯能弁絵はがき」を作り上げることを目指して活動している。

 冒頭の現代語訳は、「今日は、霜柱もなく、何事もない穏やかな日で風もなく良かった。混ぜご飯作るから、その間小言を言われる前に、玄関出て、かくれんぼでも、とうせんぼでもして遊べ」という意味。

 同会は、次第に消えゆく飯能弁を、方言を記憶しているお年寄りがいるうちに掘り起こし記録して、次世代に残していこう、という思いから、平成26年春ごろ発足。

 語り合い楽しむことを目的にしているため、代表などもおかず、出入り自由。毎月5人から10人程度が参加して、懐かしい飯能弁を思い出しながら昔語りを楽しんでいる。

 同市上名栗の郷土史研究家の浅見節雄さん(67)を、同市原市場の森宏さん(70)が誘うという形で、徐々に市内全域に輪が広がってきている。

 飯能弁は、地域によって違いがあるが、通じないほどではなく、「あに(何)」「あっさらしい(おそろしい)」など、「あ」で始まる方言が多く、「あ」にアクセントがあることが多いのも特徴、と浅見さんらは話す。

 参考文献は、市内の公民館長などを務めた山岸統さんの著作『おらがほうの標準語』(弊社発行)。飯能方言をまとめた希少な文献になっている。

 同会では、絵はがき作りを目指して活動しており、その次には、「飯能弁かるた」の製作も視野に入れている。