西川材の魅力生かす 「ひとつぼキャビン」
木製建具・家具の製造を手がける飯能市山手町のサカモト(坂本勉社長)が取り組む「西川材(スギ・ヒノキ)の木材加工技術を活用したひとつぼキャビン事業」が、国の「地域産業資源活用事業計画」に認定され、8日、同社で関東経済産業局・関東農政局による認定証交付式が行われた。
認定を受けた同事業は、飯能を代表する地域産業資源の西川材を生かして「ひとつぼキャビン」を開発し、製造販売を通じて西川材の利活用促進につなげていくもの。坂本社長は「西川材の魅力を多くの人に伝え、地域ブランドを発信していきたい」としている。
ひとつぼキャビンはその名の通り、西川材で組んだキャビン(小屋)で一坪(3・3平方メートル)の空間を創出するもの。
西川材の木肌の美しさと強度の高さ、同社の木材加工と製造技術、設計力を生かし、試作品は幅・奥行1・9メートル、室内高は1・5~2・4メートル。外観は、積み木を思わせる正方形の部屋に、取り外し可能な三角錐の屋根が乗り、壁面は四方向へL字型に開閉できる仕組み。
ガーデニング、キャンプ場、レジャー施設、飲食販売などで活用できる屋外据置型、事業所や住宅内、展示スペース、キッズルームなどで活用できる屋内置き家具型を展開し、「様々なニーズに適した使用方法が検討できる」としている。
国の地域産業資源活用事業計画の認定対象となるのは、都道府県が指定する地域産業資源(農林水産物、鉱工業品、観光資源)を活用し、中小企業などが商品・サービスの開発や需要の開拓を図る事業。
認定を受けた事業者は、ふるさと名物応援事業補助金、中小企業信用保険法の特例、政府系金融機関による低利融資、専門家によるアドバイスなどの支援を受けることができる。
同社は平成19年にも、西川材を生かしたドア・家具・キッチン等の住宅設備商品を開発しエコロジー住空間をプロデュースする「西川材エコロジー住空間創造事業」が認定を受けており、今回で2度目。
同社で行われた認定証交付式には、関東経済産業局、関東農政局、県関係者をはじめ、支援機関となる飯能商工会議所、飯能信用金庫、中小企業基盤整備機構の関係者が出席。
関東経済産業局産業部経営支援課の一倉正仁課長、関東農政局経営・事業支援部地域連携課の南澤延幸六次産業化専門官がそれぞれ坂本社長に認定証を手渡し、「新たな西川材の魅力を発信する取り組み。目標達成とともに事業発展と地域全体の活性化を期待したい」などと激励した。
同社は既に飯能まつりや西川材フェアなどのイベント会場でキャビンの展示を行い、来訪者からの意見集約を進めており、今後は林業・製材関係者をはじめ、NPO法人、エコツアー実施者など幅広い分野と協力し、支援機関の飯能商工会議所や飯能信用金庫の支援を受けて事業展開に取り組んでいく。
坂本社長は「建具の技術を生かしてどのように西川材の良さを伝えていくかを考え、ひとつぼキャビンが生まれた。ありそうでなかった形。屋内外で様々な活用方法が考えられる。木の空間は子どもたちの成長にも安らぎを与えてくれる。林業や製材関係をはじめ色々な方の力を借りて、広く発信して参りたい」と話している。