県水「不味くて飲めない」 地域住民の会が市に陳情
「美味しい飯能の水を飲みたいという地域の声に、市はこたえてほしい」。1日当たり4000立方メートルの「県水」(県企業局による上水)を入間川の水と混ぜ、主に入間川右岸地区(岩渕、阿須、落合など)に配水している飯能市。2日、同地区住民らで組織される団体が市役所を訪ね、県からの水をストップし、従来の飯能の水を給水するよう求める陳情書を大久保市長宛てに提出した。
陳情活動を行ったのは、「安全でおいしい飯能水にもどしてもらう会」(山崎文子代表)。10人が訪れ、対応した町田靖上下水道部長に1126筆の署名とともに陳情書を手渡した。
会などによると、市は10年以上前に住民の同意もなく、入間川右岸地区の下畑、岩渕、阿須、落合、征矢町に県水を配水。導入当初、同地域への配水は飯能水5%に対して県水95%という〝高濃度県水〟。その後、ブレンド率は65%と変化したが、「相変わらず、水道水の不味さは変わらない」という。
県水受水の根拠となった飯能市「12万人都市構想」は既に破たんし、人口は逆に減少傾向にあり、県水導入の必要性は完全になくなっている。陳情署では「大久保市長の『入間川の水を市内全戸に給水』するという公約を一刻も早く実現してほしい」と求めた。
陳情書提出後、会と同部との質疑応答があり、会側から「県水が配水されてから麹菌が死んでしまうのか、ふかし饅頭がうまくできなくなった」「市全体を同じ県水の割合にしてほしい」「不味くて県水が飲めない」「一部の地域が毎日まいにち犠牲になっている」などの意見が出た。
冒頭、町田上下水道部長は「市長からは良く話を聞いて、私に伝えるようにと指示されている」などと述べた。
市は自然条件に左右される入間川からの取水のみでは、年間を通して市民への安定給水が維持できず、そのためには二次的な水源である県水の役割が重要であるなどと、市議会一般質問で答弁している。