特別展「高麗郡1300年─物と語り─」高麗郡の実像に迫る
奈良時代の霊亀2年(716年)に飯能・日高を中心に設置され今年で建郡1300年を迎えた高麗郡をテーマにした特別展「高麗郡1300年─物と語り─」が16日から8月31日まで、さいたま市にある県立歴史と民俗の博物館で開催される。
建郡イヤーを迎えた今年は日高市を中心に多彩な記念事業が展開されてきたが、県立博物館で高麗郡をテーマにした展示が行われるのは初。
古代寺院の出土遺物などの資料をはじめ、高麗神社や聖天院の宝物や地域に残る古文書などの歴史資料を中心に紹介し、古代高麗郡の実像とその歴史がどのように語り継がれてきたのかを探る。
会場内は、プロローグ「高麗郡ヲ置く」に始まり、「高句麗─高麗人のふるさと─」「東国の渡来文化」「古代高麗郡の景観─寺院・集落・産業─」「高倉福信─高麗郡出身の官人─」「高麗若光の足跡」「高麗神社と高麗山聖天院の宝物」「記憶の浮上─高麗神社を中心に─」の各テーマ、エピローグ「高麗郡建郡1300年」の順に展示。
日高市からは市教委が所蔵する「高岡廃寺出土遺物」「王神遺跡出土鳥形硯」、高麗神社所蔵の「高麗氏系図」「鍍銀鳩榊彫文長覆輪太刀」聖天院所蔵の「応仁鰐口」「高麗山山号額」を展示。
このほか、同博物館所蔵の「将軍標」、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻所蔵の模写梅山里四神塚「玄室東壁」「玄室西壁」、行田市郷土博物館所蔵の「酒巻14号墳出土人物埴輪」など歴史資料約200点が並ぶ。
古代高麗郡の景観を示す歴史資料を通じ、祖国高句麗を離れ関東の未開の地へ移住した高麗人たちの手で築かれた高麗郡の実像と、その歴史がどのように語り継がれてきたのかを明らかにする。
期間中、記念講演会「高麗郡研究の最前線」として、30日には日高市教育委員会の中平薫さんが「古代高麗郡─考古資料から考える─」、8月20日には高麗浪漫学会理事で元明治大学講師の荒井秀規さんが「高麗郡・新羅郡の建郡をめぐって」と題して講演する。時間はいずれも午後2時から3時半まで。
また、16日にはオープニングイベントとして韓国伝統芸能サムルノリの公演、26日午前10時半から正午まで小学生対象のジュニア博物館講座「夏休みは“かわら”で楽しもう!─博物館に飾っちゃおう、きみの瓦」、8月6日午後2時からは歴史民俗講座「語られる高麗郡」などが行われる。
講演を行う日高市教委文化財担当の中平さんは「貴重な歴史資料を通じて高麗郡の歴史を広く知って頂く良い機会。市民の方々にもぜひ足を運んで頂けたら」と話している。
開館時間は午前9時から午後5時まで。月曜休館(7月18日祝日は開館)、観覧料は一般600円、高校生・学生300円。講演会や講座は事前申し込みが必要。問い合わせは、同博物館048・645・8171へ。