高齢者の事故・詐欺被害防げ 一軒ずつ訪問し注意喚起

高齢者世帯を訪ね、注意を呼びかける飯能署員

 高齢者が関わる交通事故や特殊詐欺被害を一件でも防ごうと、飯能署はこのほど関係機関と協力して日高市武蔵台3丁目を中心に各家庭を訪問し、地域に住む高齢者らに啓蒙品を配布しながら注意を呼び掛けた。

 管内では高齢者が関係する交通事故が増加傾向にあり、県内では交通事故による死者の6割以上が高齢者。特に夏場は暑さにより注意力が散漫となり、事故の増加が懸念されるという。

 武蔵台地内では昨年11月、70代女性が交差点で道路を横断中に右折してきた乗用車にはねられ、死亡。今月19日にも、飯能市坂元の国道299号線で70代男性が運転する軽乗用車が対向車線にはみ出し、対向の乗用車と衝突して男性が死亡している。

 特殊詐欺については、日高市の60代男性がインターネットサイト運営会社職員を名乗る男からの電話の指示を受け、計24回にわたってコンビニで購入したプリペイドカード(電子マネー)の番号を教えたり現金を振り込み、合計2814万円を騙し取られる特殊詐欺(架空請求詐欺)の被害に遭った。

 架空請求詐欺は、インターネットサイト事業者などを名乗る犯人から有料サイト閲覧の未納料金が発生しているなどの名目で、携帯電話にショートメッセージが送られたり、法務省や裁判所などの名称で自宅にはがきが送付されることにより、実際には使用していない料金を支払わせようとするもの。「払わなければ裁判になる」「今日払えば大半が返金される」などと言われ、払ったほうが良いと思い込まされるのが特徴。

 この他、息子など身内を騙る人物からの電話を受け、自宅近くの路上で息子の部下を装う男や同僚を名乗る男などに多額の現金を手渡すオレオレ詐欺、市役所職員を名乗る人物から「保険料の払い戻しがある」などと電話を受け、指示通りにATMを操作し口座に現金を振り込む還付金詐欺なども発生している。

 キャンペーンに参加したのは、同署交通課と生活安全課に所属する署員、同市危機管理課、同市交通指導員、飯能地区地域交通安全活動推進委員協議会から計約20人。

 参加者は4つのグループに分かれて一軒ずつ家を訪問したほか、こま武蔵台ショッピングセンターの利用客へ啓蒙品を配布し、「高齢者の方の関係する交通事故が増加傾向にあるので、反射材などを有効活用してもらえたら」「電話でお金の話が出たら詐欺だと思って下さい」など呼び掛けた。

 同署交通課の柳真一課長は「管内では、高齢者が関係する交通事故が増加傾向にある。先日は国道299号で死亡事故が発生している。特殊詐欺についても高齢者の方が狙われているということで生安課とタッグを組み、関係団体にご協力をいただいて、一軒でも交通事故、特殊詐欺を減らしていきたい」。

 同署生活安全課の中原眞基人課長は「特殊詐欺も交通事故も、いつ、どこで、誰が被害に遭うか分からない。警察だけで防ぎきれるものでもないので、ご近所や親せきなど身近な人に伝えて欲しい」と話している。