「梅林さん、ありがとう」 卒業生に似顔絵プレゼント 今年度、学校用務員を引退

 今年度で学校用務員を退職する飯能市立奥武蔵小学校勤務の梅林義雄さん(69)が、特技を生かし、卒業を迎える6年生一人ひとりに似顔絵をプレゼントした。

 梅林さんは30年前に学校用務員となり、市内の小中学校に勤務。定年後も再任用として仕事を続けてきた。

 手先が器用で、学校で必要な棚や看板などの備品を数多く手作りしたほか、絵を趣味とし、子どもたちのリクエストに応えてアニメのキャラクターなどを描いた絵や段ボールのアート作品を校内の掲示物に活用するなど、児童生徒が楽しく過ごしやすい環境づくりに力を注いだ。

 色鉛筆で描く似顔絵も特技の一つ。東吾野の平戸に住み、3年前に地元の東吾野小が奥武蔵小に統合した際には、閉校となった東吾野小の児童全員に似顔絵をプレゼントした。

 今年度で30年の用務員生活に別れを告げることとなり、最後の勤務先となった奥武蔵小の卒業生18人に似顔絵を贈ることを決め、写真をもとに1人ずつ描き上げた。

 卒業式を控えた16日、児童集会で完成した似顔絵のお披露目と贈呈が行われ、プロジェクタで1人ずつ似顔絵が映し出されると児童たちからは「すごい」「そっくり」と歓声。

 梅林さんから似顔絵を受け取った6年生の川口奈南さんは「いつも学校で色々なものを作ってくれて、すごいなあと思っていた。素敵な似顔絵をいただき、卒業の宝物として大事に飾っておきたい」と感謝した。

 同校の安田孝之校長は「長年にわたって市内の小中学校で子どもたちのために尽くしてくれた。その集大成として卒業生に似顔絵を描いて頂き、本当にありがたい」とねぎらった

 「好きな事を生かして子どもたちと交流することができ、やりがいのある仕事だった」と用務員としての30年を振り返った梅林さんは「最後の年に、卒業生の似顔絵を描くことができて、私にとっても最高の思い出になった。仕事を離れても、ボランティアとして何か学校の力になれたら」と話した。