市内でも拡大するナラ枯れ 12月議会に対策費計上

カシナガが穿入したことを示す木くず(写真は苅生の市有林)

 コナラやミズナラなどナラ類が集団で枯れる「ナラ枯れ」の被害が全国的に発生しているが、飯能市内でも中山や阿須、苅生地内などでの発生が市によって確認されている。

 市は、12月定例会に危険木の伐倒などナラ枯れ対策関係の補正予算を提出した。

 ナラ枯れは、カシノナガキクイムシ(以下、カシナガ)という体長5ミリほどの虫がナラ類やシイ・カシ類の樹木に穿入し、木の水を吸い上げる機能を阻害して枯らしてしまう現象。

 関東地方ではこれまで確認されていなかったが、ここ数年の間に各都県で被害が発生。埼玉県内でも令和元年、新座市内でカシナガによってナラ類が枯れていることが確認された。

 飯能市内では令和2年に初めて被害が確認され、3年10月末現在、飯能、中山、永田台、阿須、矢颪、下畑、苅生、平戸地内でのナラ枯れ現象を市は把握している。

 県によると、今年8月現在、県内では新座市、飯能市のほか、さいたま市、志木市、川口市、狭山市、川越市、所沢市、入間市、上尾市、和光市、東松山市、三芳町で被害木が認識されている。

 被害を受ける樹種は、日本産ブナ科の多くの種。特にミズナラとコナラの被害が多発している。

 ①6~10月頃、健全なナラにカシナガの成虫が飛来して幹に穴を開けて樹内に侵入②樹木が萎れ始め、1~2週間で枯れが急激に進む③翌年6~8月頃に枯れたナラから新成虫のカシナガが飛び出し、健全なナラに飛び穿入するというサイクルが繰り返され、ナラ枯れ被害が、しだいに拡大していくという。

 枯れた樹木を放置しておくと、倒木や落枝などといった危険性が高まるため、市はナラ枯れ対策として、開会中の12月定例会に対策のための補正予算を計上した。

 防除としては、被害木を伐り倒し、全体をビニールで覆った上でくん蒸薬剤を噴霧し、カシナガを殺虫する。または、立木のまま樹幹にドリルで穴を開けて薬剤を注入する。さらに、樹幹に被覆材(粘着剤、ビニールなど)を塗布または巻き付けて、カシナガの穿入・脱出を防ぐというやり方がある。

 市は対策として、市民の立ち入りが多い歩道やハイキング道沿いについては、森の番人による伐倒、くん蒸、粘着シートによる被覆などの対策を優先的に実施する。

 私有地での防除については、原則として森林所有者の責任で対策を行ってもらうが、森林所有者に対して林政アドバイザーによるナラ枯れ被害木の駆除や予防対策に係る技術指導のほか、粘着シートを支給するなどして支援する方針。

 また、不特定多数が利用する道路沿いのナラ枯れ被害木の伐倒を行う森林所有者に対しては、生活対策森林伐採事業補助金の交付なより、自主的な取り組みを支援する考えでいる。

 ナラ枯れ被害に関する市民への情報については、随時市ホームページに記事を掲載し、広く周知を図るとともに被害木の周辺に注意看板を設置し、歩行者に注意喚起する。

 市は、職員による巡回、市民から寄せられる情報などにより引き続き被害状況を把握し、ナラ枯れは広域的な対策が必要なため、「埼玉県をはじめとする関係機関などと情報を共有しながら連携して取り組んでいく」としている。

 ナラ枯れについての問い合わせ及び情報提供は、市森づくり推進課(973・2111)へ。