「命のバトン」救急隊へ渡す 渡部さん(武蔵台)へ感謝状
飯能署で突然倒れた高齢男性に迅速に心臓マッサージなどを行い、人命救助に貢献したとして、飯能署は、日高市武蔵台の渡部優子さん(50)に感謝状を贈った。
贈呈式は同署署長室で行われ、山本恭茂署長は署内で起きた人命救助に「とっさに救助して頂き、感謝している。人命救助のお手本を見せて頂いた」と感謝を述べた。
渡部さんは2月18日午前11時頃、仕事の関係で車の道路使用許可書を取るために、同署を訪れた。免許の更新や道路の使用許可証などを扱う交通棟のドアを開けたところ、高齢男性が仰向けで倒れているのを発見。
意識が無く、顔色も悪くなってきていたため、すぐに心臓マッサージを開始し、署員にAEDを持って来るように求めた。
本庁舎からAEDを持ってきた署員と一緒に地域課の平沢貞夫警部補(46)が現場へ駆け付け、渡部さんと共に心臓マッサージやAEDを活用するなどして人命救助を施し、間もなく到着した救急隊へ引き継いだ。
救助された高齢男性は70代で、運転免許証の返納に来ていたところ、突然倒れたという。その後、搬送先の病院で意識を取り戻した。
渡部さんが人命救助を行ったのはこれで2度目。「昨年の10月中に一緒にいた知人が倒れ、救命処置を行っていたので、今回すぐに動けた。今の時期、コロナのことも頭によぎったが、それよりも助けたいという思いが強かった」と振り返る。
渡部さんは、住んでいる地域で高齢化が進んでいることから、いつか役立つことがあるかもしれないと、平成27年12月に消防署で救急隊から講習を受け、親子で認定証を受けた。
「その時に救急隊の方から、“もし、命のバトンを受け取ったら、とにかく救急隊が来るまで頑張って下さい。救急隊へ命のバトンを渡して下さい”と説明を受けた。その言葉がすごく印象に残っていたので、今回、命のバトンを渡せてほっとした。男性が助かったと聞き嬉しかった」と話している。
また、渡部さんと共に人命救助を行った平沢警部補は、勤務明けで帰宅する準備をしていた時、あわてた様子の署員がAEDを取りに来たため、一緒に現場へ駆け付けた。
県内の警察官に対して、救命救急の講習会などで指導している平沢警部補は「人形を使っての実技はやったことがあるが、実際に行うのは初めてだった。これまでに繰り返し学んできたことで、命を助けることが出来て良かった」と話している。