今夏で47年の歴史に幕 市民に愛された市民プール
飯能市教育委員会は、飯能西中学校近くの市民プール(飯能372番地)について、老朽化が激しく、施設更新には多額の費用を要し、利用者も減少しているとして令和2年で廃止する方針を下した。このほど開かれた市スポーツ推進審議会(岡部素明会長)に当該案件を諮問、答申を得た。
市民プールは、埼玉県が勤労者の健康、福祉増進のため、昭和47年に開設した施設。平成15年、市が県から買い取った。
50メートル(7コース)の長さがあり、夏季には市民が利用しているほか、8月には市民体育祭水泳大会の会場になるなど、市民には馴染みが深い。
だが、平成22年度に7432人あった利用者は年とともに減り続け、29年度には2560人まで下降。さらに、30年といわれている耐用年数を大幅に超過し、水質保全のための濾過装置の不具合、プール本体の下地やプールサイドの床の剥がれ、シャワーの故障や給水管の老朽化など各所に傷みが生じていた。
プール運営のための経費についても平成29年度を例にみると、37万1241円の使用料に対し、委託料などの歳出は1000万円を超え、他年度でも同様の状況となっている。
施設の老朽化や利用者の減少が生じている状況下、今後、利用者に安心安全に利用してもらうには大規模な施設修繕、プール本体の改修工事等の対策を講じなければならなかった。施設を管理する教委は施設のあり方について、庁内で検討するとともに関係団体と協議を進めていた。
市民プールの開場期日は、市水泳連盟が主催する今年8月の市民体育祭水泳大会の終了まで。以降、市が普通財産として管理し、解体、撤去等については国の財政支援等を踏まえる。
市民プール廃止によって、55回を数える歴史ある市水泳大会が行き場を失うが、これについて教委は、「他の施設の利用を含め相談しており、今後、スポーツ課が調整を図り、適切な場所で開催する」と、新たな場所で市水泳大会を継続開催することを約束。
一方、水泳の授業で市民プールを利用している飯能西中への対応については「教育委員会として、他の中学校も含め、水泳授業や体育科の授業のあり方を検討する」との考えを示している。