詐欺容疑で日高市職員逮捕 亡くなった独居男性のクレジットカード使用

 埼玉県警捜査二課と飯能署は30日、職務で取り扱った他人名義のクレジットカードを不正に使用したとして、日高市教育委員会教育部生涯学習課主査の中村裕之容疑者(47)=狭山市広瀬東=を詐欺容疑で逮捕した。同容疑者が不正に使用したクレジットカードは、日高市内で平成28年11月に亡くなった一人暮らしの男性(当時79歳)の名義のもの。市が身寄りのないこの男性の遺体を引き取った際、当時社会福祉課に勤務していた同容疑者が男性の遺品の中にあったクレジットカードを所持し、買い物に使ったと見られる。

 逮捕容疑の内容は、平成29年8月2日、中村容疑者が日高市内のドラッグストアで、他人名義のクレジットカードを店員に提示して歯ブラシなど4点を購入、合計2749円を騙し取ったというもの。

 不正に使用された男性名義のクレジットカードは2枚あり、昨年1月から8月にかけて計207件、約200万円分が使われていた。昨年夏に男性の死を知った親族が、本人が亡くなった後にカードが使用されていることに気付き県警に相談、捜査が進められていた。

 同容疑者は容疑を認めており、県警で引き続き余罪や動機について調べている。

 同容疑者は平成21年4月から29年6月まで社会福祉課に勤務し、男性が死亡した際には遺体と遺品を引き取る業務を担当した。29年7月に、現在の生涯学習課に異動した。

 詐欺容疑による職員の逮捕を受け、日高市の谷ケ﨑照雄市長は同日、市民に対してお詫びのコメントを発表。

 「法令を遵守し、市民の安心と安全、豊かな生活の実現に向けて取り組むべき市職員が、市民の財産を侵したもので、決して許されることではなく、行政に対する市民の皆様の信頼を大きく失墜させるものであり、深くお詫び申し上げます。現時点で詳しい内容は分かりませんが、今後の捜査の進展状況を踏まえ、事実関係及び刑事処分の内容を踏まえ、厳正に対処して参ります」としている。