冷やかしや悪口が大半 青少年問題・いじめ問題対策協
日高市内の青少年問題、いじめ問題への対応に関する情報共有や意見交換を目的とした日高市青少年問題・いじめ問題対策協議会の今年度の第1回会議が17日、日高市役所で開かれた。市教委から市内小中学校のいじめの実態として、平成29年度は小学校で35件、中学校で47件のいじめを認知し、いじめの内容として小学校では約半数、中学校では約7割が「冷やかしや悪口等」だったとする報告やいじめ防止の取り組み状況の説明などが行われ、いじめや児童生徒のスマートフォン利用などに関して委員が意見を交わした。
同協議会は、谷ケ﨑照雄市長が会長、市教育委員会、警察、市校長会(小学・中学)、高校、大学、児童相談所、法務局、いじめ問題専門委員会、民生・児童委員協議会、社会福祉協議会、区長会、保護司会、青少年育成市民会議、PTA連合会、子ども会育成連絡協議会、青少年相談員協議会、青少年育成推進員、スポーツ少年団、老人クラブ連合会の代表者が委員を務め、いじめ問題など青少年育成に関する施策の調査審議や関係機関の連絡調整などを行う。
開会の挨拶に立った会長の谷ケ﨑市長は、子ども議会、中学生オーストラリア派遣、広島市平和記念式典児童派遣、韓国烏山(オサン)市とのスポーツ交流など、市の青少年健全育成に関する事業を紹介し「全国的に子どもたちの悲惨な事件が後を絶たず、心を痛めている方も多いと思う。このようなことが無いように皆さんと力を合わせて努力して参りたい。本会議では、いじめ問題や青少年健全育成に関する意見を伺うとともに、各団体の取り組みについて情報交換をさせて頂きたい」と述べた。
市教委事務局は、平成27年度から29年度までの3か年の市内小中学校でのいじめの認知件数として、27年度は小学校12件・中学校26件、28年度は小学校33件・中学校39件、29年度は小学校35件・中学校47件と報告。年々件数が増加傾向にある状況ついて、「いじめに対し、“これくらいは大丈夫”、“これはいじめとは違う”という甘い認識ではなく、“これはいじめではないか”という疑いを含めていじめとして対応していこうと、各学校が意識を高くして認知している結果と認識している」とし、認知されたいじめはいずれも解消を図り、経過観察を行ったとした。
また、学校別のいじめの認知率が示され、その分析として、「小学3~5年生に認知率はピークを迎えている。また、中学1年で認知率が急激に増加している。中学校では学年が上がるにつれて認知率が減少していく傾向がある。小学3~5年生は自立心が育ち、仲間づくりが始まる時期と言われている。仲間意識が高まる一方で、仲間はずれを作ってしまう。中学1年は部活動等が始まり新しい人間関係が構築される時期。成長とともに他者を認める力がついてきて、認知率が減少していると考えられる」とし、「どの学年でもいじめは起きるという意識を持って児童生徒に適切な指導をする必要がある」とした。
29年度の認知件数に基づいたいじめの内容については、小学校では多い順に、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が17件(45%)、「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」が10件(26%)、「仲間はずれ、集団による無視をされる」が7件(18%)、「嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」が2件(5%)、「ひどくぶつかられたりたたかれたり、蹴られたりする」1件(3%)、「パソコンや携帯電話等で誹謗・中傷や嫌なことをされる」1件(3%)。
中学校では、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が34件(71%)、「仲間はずれ、集団による無視をされる」が5件(10%)、「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」が5件(10%)、「金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする」が2件(4%)、「嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」1件(2%)。
いじめの内容の分析として、小学校については、「半数近くは冷やかし等で、次いで軽くぶつかられた等が26%を占めている。友達とのコミュニケーションの方法が分からず、手を出したり悪口等を言ってしまうことが考えられる。また、集団を形成していく過程で仲間はずれを作ってしまう傾向が見られる。一度構築された人間関係を再構築することは容易なことではないので、小学校段階からの人間関係づくりが大切になってくる」。
中学校については、「いじめの内容は冷やかし等が大部分。小学校と同様、コミュニケーションの方法が分からないことに併せて、生活集団に変化がないことが要因として考えられる。また、中学校では金品を隠される等のいじめが発生している。被害者本人ではなく、間接的にいじめを行う事例も発生している」。
また、パソコンや携帯電話等によるいじめは小学校で1件、中学校ではゼロという結果だったが、インターネットやスマートフォンの利用が低年齢化し、中学生では利用している生徒が大勢いることから、ネット上の情報に対する正しい判断などの指導、保護者への啓発が必要とした。
このほか、小学校でのいじめを予防するための取り組みと成果として、「毎朝の登校指導で児童のわずかな変化(表情の明暗、目線を合わせない、服装の乱れ、あざやけがの有無、前日との比較等)を見逃さずに観察している」「各学期のいじめアンケートに加え、随時アンケート調査を行っている。アンケート結果を基に当該児童から聞き取りを行い、疑いの段階で指導することによっていじめを未然に防ぐことができた」「担任だけでなく、全教職員で児童の交友関係の変化を見逃さないようにしている。気になることは管理職に報告し、情報の共有を行い、すぐに対応をした」などを挙げた。
委員による意見交換では、中学校でパソコン・携帯電話を使ったいじめが認知されていないとの結果について「これだけスマートフォンが普及している中で意外だった」との声もあり、「冷やかしや悪口という項目の中に、スマートフォン等での書き込みが含まれている可能性もある」との見解も示された。
また、児童生徒がスマートフォンやSNS等を通じて犯罪に巻き込まれるケースも全国的に多発していることから、児童生徒のスマートフォンの利用に対して意見が交わされた。
学校関係の委員からは、「スマホは子どもにとって“百害あって一利なし”ということを保護者には申し上げている。迷ったら持たせない、判断を子どもに委ねてはいけない。保護者の責任として、いつでもスマホの中を確認できるようにして下さいと伝えている」。
警察関係の委員からは「親が子に自転車の乗り方や交通ルールを教えるように、スマホも保護者が子どもに使い方を教えるべき。実態は買い与えるだけで、正しい使い方を教えていない場合が多い。子どもたちは危険性も分からずに利用している。各家庭でスマホの危険性についてもっと意識を高める必要がある」などの意見があった。