136自治会のトップ決まる 加入率低下など課題

就任あいさつを行う和田氏。後ろ左から副会長の浅見、町田、森口、本橋氏

 飯能市自治会連合会の平成30年度定期総会が市役所別館で開かれ、任期満了に伴う正副会長人事、平成30年度事業計画案など上程8議案が全会一致で承認された。平成26年から2期4年間会長を務めた豊田義継氏(阿須第二)が退任した後の新会長として、和田毅氏(一丁目自治会長)が就任、13支部136自治会のトップに立った。全国同様、人口減少と高齢化が進む飯能市。和田会長は就任挨拶の中で「10年、15年後に今の町内会、自治会がこのままの形で残れるのかといった心配がある。成り行きに任せるか、新しい自治会を作るのか、皆さんと考えていかなければならない問題」などと問題提起した。

 単位自治会から81人が出席した総会の議案は、①平成29年度事業報告②同収入支出決算③同自治会活動支援基金事業報告④同基金収入支出決算、監査報告⑤平成30年度新役員の承認⑥同事業計画⑦同収入支出⑧同自治会活動支援基金収入支出予算。

 議事については、人事案件までを豊田氏が、以降を和田氏が引き継ぎ進行。議案説明後、出席者からの質疑はなく、全議案が原案どおり、可決、承認された。

 今年度実施する事業は自治会ハンドブックの配布、表彰事業として「はんのき賞」の募集・選考・表彰、広報活動として自治連だより「きずな」の発行、研修事業として新任自治会長研修、県外視察、市内視察、行政協力事業として第16回飯能新緑ツーデーマーチ、第17回奥むさし駅伝競走大会への協力など。

 収入については会費399万、市補助金277万4000円などを計上、全体で751万6146円と見込んだ。これは前年度当初予算と比較し、24万6233円の増となった。

 自治連会則第8条で、会長任期は「2年とし、再任を妨げない。ただし、再任は1回に限る」と定められている。平成26年に就任し、28年に再任した豊田氏の任期満了に伴う今回の役員改選では、5月8日に開かれた理事会内での選考委員会で会長候補者に和田氏が選出され、理事会で承認。

 また、和田氏により副会長候補者として、森口隆吉氏(宮本町自治会長)、本橋実氏(上直竹下分自治会長)、浅見豊樹氏(下久通自治会長)、町田貞憲氏(小沢二区自治会長)が指名され、同じく理事会において承認。総会でも同人事に異議は出ず、昭和32年発足の歴史と伝統の自治連の新たな舵取りが決定した。

 会長は理事のうち、各支部から選出された選考委員による互選で、副会長は理事の中から会長が指名する方式がとられている。

 新役員を代表して挨拶に立った和田会長は、住宅の空き部屋やマンションの一室を観光客などに宿泊させる民泊のルールを定めた「住宅宿泊事業法」=民泊新法=が今月15日に施行されることに言及。

 「これについては全国で、騒音、防犯、火災、ごみの処理、臭気などいろいろな問題が起きており、町内会、自治会にとって大きな問題」と危惧。「コンビニ業界がこれに乗り出し、コンビニが住宅の鍵を預かり、これから事業展開していくという。新しい法律なので、皆さんと勉強し、情報交換しながら対応していきたい」との方針を示した。

 また、飯能市の人口減少と高齢化についても触れ、「2025年の飯能市の人口予測は6万8600人である。それに加えて高齢化が進んでいる。高齢化率は山間部が50%、市街地でも30%以上になるという予測もある。そういった状況で、10年、15年後に今の町内会、自治会がこのままの形で残れるのかという心配がある」と、自治会存続に危機感を。「人口減少、高齢化は避けられない問題であり、町内会、自治会が成り行きに任せていくのか、それとも皆さんで考え、新しい町内会、自治会を作っていくのか。皆さんのご意見を頂きながら、自治連としても考えていかなければならない問題と考えている」と提起した。

 総会には、来賓として大久保勝市長、野田直人市議会議長、今井直巳教育長、内沼博史県議、湯本賢飯能署長、酒井栄二飯能日高消防署長が出席した。

 30年度における自治会(4月1日現在)数は、136あり、単位自治会を構成する班数は2619、世帯数は2万5335。29年度と比べて、班数で5班、世帯数で115世帯減少している。自治会加入率は73・2%となり、前年より1ポイントの減。

 総会では明るく住みよい地域社会づくりを目指し、地道に実践活動を行っている個人・団体を自治連が称える「はんのき賞」の表彰式も行われた。受賞者は次の3人2団体。敬称略。

 ▽小久保旭雲=昭和40年から半世紀に渡り加治地区の公民館を拠点に地域の女性を対象にした生花指導を継続している。地域の女性同士の交流の輪を広げ、家庭以外の居場所をみつけるきっかけづくりに努めている。

 ▽新井勝男=毎朝、名栗小・中学校の通学路で交通安全指導やあいさつ運動を行ってきた。歩行者と自転車が安全にすれ違えるように誘導したり、通学時間帯の前後には周辺の道路清掃を行い、美しく通行しやすい道路環境の整備に努めている。

 ▽柿沼ふみ子=季節に応じてほぼ毎日、一人で地道に永田台自治会館周辺や中央公園等の清掃・美化活動を行っている。

 ▽南高麗子ども見守り隊=毎日の登下校時間に合わせ、交差点・バス停等での見守りや、南高麗小学校の徒歩通学児童への通学同行を行っている。地区内の主要な事業所に対し、有事の際に子どもが駆け込めるよう、見守り活動への協力を呼び掛けている。

 ▽未来ステーション=寺子屋活動と称し、原市場福祉センターで年に5回、定期テスト前の中学生を対象に学習支援を行っている。市内の大学生にも先生役としての協力を得ており、世代間の地域交流サイクルが作られている。