「ムーミン」ライセンスを一括管理 3社が出資、新会社設立
国内最大手の翻訳出版権エージェントで平成元年以来ムーミンのライセンスを管理している株式会社タトル・モリ エイジェンシー(東京都千代田区、森健一社長、以下TMA)と、来年春のオープンに向け飯能市の宮沢湖周辺に整備中の「ムーミンバレーパーク」の企画運営事業を進める株式会社ムーミン物語(東京都港区、ロバート・ハースト社長)、ムーミンに関する全ての著作権を保有するフィンランドのMoomin Characters Oy Ltd(以下MC)は、3社の出資により、日本における「ムーミン」のライセンスを一括管理する新会社として、株式会社ライツ・アンド・ブランズ(以下RBJ)を16日に設立すると発表した。新会社RBJの事業内容は、著作権の譲渡契約や利用契約の仲介などで、東京都品川区に本社を構え、代表者はTMAの森社長、ムーミン物語のハースト社長が務める。業務開始日は4月1日。
発表では、新会社設立の目的について、近年、ムーミンの世界観やアート性への支持が高まり、関連商品やサービスの売上は大幅な伸びを示し、ムーミンバレーパークのオープンという話題も相まってムーミンへの注目度が増す中、「ムーミンの著作権者であるMC の資本参加を得て、経験豊富なライセンスエージェントのTMA、ムーミンバレーパークの企画運営を進めるムーミン物語が強固な協力体制を築くことにより、ライセンス事業、テーマパーク事業が統一した戦略をとり、また中長期的な視野から事業領域を積極的に開拓することで、ムーミンのブランドバリューを一層向上させ、新たなファン層を取り込み更なる市場の拡大を実現することを目指し、RBJ設立を決定した」としている。
同社はTMAが行う既存のライセンス事業を引き継ぐだけでなく、全世界のムーミン・ライセンス事業を統括することを目的としてスウェーデンに設立された独占代理人R&B Licensing ABの日本における唯一のサブ・エージェントとして、ムーミンバレーパークのオリジナル商品に関するライセンス管理など、ライセンスに関する事業を総合的に行う。
ムーミン市場動向について、日本はムーミンの世界市場の46%を占め、昭和44年以来数度にわたるテレビアニメーション化により広く知られているが、原作小説の発行部数も累計500万部に達し、平成23年以降は一般のキャラクター戦略と異なる「トーベ・ヤンソンのエバーグリーンな文学・アート作品」という位置付けを強化させることで、大人の女性を中心にムーミン関連商品の売上が急速に上昇。平成27年の国内市場規模は370億円相当に達し、平成22年と比較して4・69倍という高い成長率を示しているという。
ムーミンの物語を主題としたムーミンバレーパークの敷地面積は湖の水面部分を含まず約7・3万ヘクタール。発表では、ムーミンバレーパークの概要として、「ムーミン一家とその仲間たち、そして新しい発見に出会うことができます。ムーミン一家が暮らすムーミン屋敷や、ムーミンの物語を追体験できる複数のアトラクション、物語の中で登場する灯台や水浴び小屋、ムーミンの物語の魅力や原作者トーベ・ヤンソンの想いを感じて頂ける施設などを計画しています。また、園内にはムーミンバレーパークのオリジナル商品を展開する大型ギフトショップやレストランなども併設予定です」としている。