4年ぶりの大雪 短時間で積雪 各所で影響
首都圏では4年振りの大雪となり、都心でも積雪23センチを記録した22日、飯能・日高で午前中から降り出した雪は短時間の間に強さを増し、夕方の帰宅時をピークに降り積もった。積雪量は最大で25センチを記録し、市民生活に大きな影響を与えた。
飯能署や埼玉西部消防局によると、日高市の武蔵台で人身事故が1件、両市でスリップなどによる物損事故が36件あったほか、女性2人が転倒でけがをし救急車で運ばれた。
4年振りの大雪は、市民生活に大きな影響をもたらしたが、これまでの経験から得た市民の心備えも奏功したのか、大きな事故や混乱はなかった。翌23日には天候が回復したが、この先もしばらく寒気が居座り、25、26日の未明に最低気温がマイナス11度前後まで冷え込むと言う予想もあり、日陰などの雪が解け残ることが予想され、市や警察などでは、市民に引き続き足元などに細心の注意をするように呼び掛けている。
飯能市内では、午前8時半頃から雪がちらつきはじめ、午前中には、市内のスーパーなどの大規模店の周辺道路は、生活必需品を買い求める市民の車であちこち渋滞した。昼前には、本降りとなり市内全域が瞬く間に一面銀世界に。午後3時頃大雪警報が発令され、5時頃には、池袋線飯能駅などは、早めの帰宅を急ぐ通勤・通学客で溢れた。
西武池袋線は、22日午前中から別の理由でダイヤでが乱れていたが、最大2時間程度の遅れが出た。23日も大雪の影響により始発から遅れが発生。
JR八高線は、22日夕刻から2度にわたって運転を見合わせ、最終的な運転再開は、午後11時半過ぎの高麗川発八王子駅行き電車となり、同線を利用する市民の帰宅は深夜になった。また、23日も午前8時台に東京の箱根ヶ崎駅付近で施設の点検が行われたため、この間、運転が見合され、通勤通学客の足が乱れた。
大雪警報が発令され、市危機管理課など関係部署の市職員は、警戒態勢に入ったが、市民からの救助要請や相談等は1件もなく、22日深夜には警戒態勢を解除した。
市内の小中学校では、22日、3校が午前中で授業を打ち切り給食を食べて早めに下校。23日は始業時間を遅らせ、美杉台小など3校が2時限目から当校、他の11校が3限目からの登校を実施したが、特にけがや大きな混乱はなかった。
4年前の豪雪で家屋被害が発生した名栗地区では、同地区行政センターによると、名郷で22センチほどの積雪だった。
同地区では建設業者4社が保有している除雪用の車両をフル稼働し、バス路線の県道、通学路の順で除雪を進めた。
28日の奥むさし駅伝では、名郷の山伏峠が秩父市へ抜けるう回路となるため、同峠の除雪も並行して行われた。
また、積雪の関係で、飯能市下名栗の「さわらびの湯」は22日午後3時で営業終了し、23日は営業を取り止めた。24日からは通常営業する。
日高市では市の防災担当職員が午後10時半頃まで市役所に詰め、雪の状況を確認。積雪量は飯能日高消防署日高分署のある猿田で25センチを記録した。事前に業者へ除雪の要請を行い、幹線道路の除雪対応もスムーズに行われたという。
交通量の多い国道407号などでは渋滞が目立ったが、23日午前8時現在までに大きな事故などは無かった。
市内小中学校については、22日は中学校で部活動を取りやめ、翌23日は小中学校で登校時間を1~2時間遅らせる措置を取った。
■精明・双柳で25センチ
飯能市危機管理室が市内13か所の全地区行政センターを通じて、調べた降雪量によると、最も多かったのは精明と双柳地区行政センターの25センチで、最少は美杉台地区行政センターの15センチだった。測定地点はいずれもセンター敷地内。
各地区行政センターの降雪量は次のとおり。いずれも23日午前8時半現在。
▽富士見=20センチ▽中央=16・5センチ▽第2=20センチ▽精明=25センチ▽双柳=同▽加治=20センチ▽加治東=17センチ▽美杉台=15センチ▽南高麗=21センチ▽吾野=18センチ▽東吾野=同▽原市場=20センチ▽名栗=同
■翌朝、各所で雪かき
大雪から一夜明け、天候が回復した23日には、各所で朝から除雪作業に励む人々の姿が目立った。
飯能駅や東飯能駅周辺では多くの店が雪かきに追われ、仲町の眼鏡店の大久保光一さん(79)は、「4年前と比べ今回は夜間にあまり降らなかったが、凍る前に雪かきをしないと来店する人や通勤通学の人が滑って危ない」。
柳町にある24時間営業のドラッグストアでは、男性スタッフが朝から駐車場の除雪作業に追われ「雪の影響でスタッフが心配だったが、確保できたので通常通り営業した」と話し、利用客が足を滑らせないよう、駐車場の雪かきを行っていた。
■駅伝への影響心配も
飯能市教育員会は、28日に第16回奥むさし駅伝が控えていることから、23日午前、全コースと名栗地区を始めとするう回路の積雪の状態を確認した。
一昨年の14回大会では本番10日ほど前に降雪があり、吾野地区など山間コースでは路肩に雪が残る中でのレースとなった。
同教委は全コース、う回路の確認後、雪が残っているような所があれば、除雪作業を業者に要請するとともに、中継所などについては職員が雪掻きをして大会に備えるとしている。
吾野地区行政センターによると、付近の積雪は18センチほどという。