浅草寺へ西川材の長椅子 飯能のPRにも一役
飯能商工会議所(矢島巌会頭)は、飯能市岩渕の歓喜寺岩井堂観音と縁のある東京都台東区の浅草寺へ、西川材製の長椅子6脚を寄贈した。岩井堂関係者をはじめ、今後観光面での交流を深めていこうと奥むさし飯能観光協会も同行。同取り組みは、平成25年から毎年実施しており、今年で5回目。成木川河岸にある岩井堂観音は、約1400年前、一人の旅僧が木彫・金塗の観音像を携え、岩渕の地に霊験を得、観音堂を建立。村人に、一心に名を唱え願えば必ず功徳を授かると伝授したことが始まりとされている。その後、暴風雨があり観音像が流出してしまった。
一方、浅草観音の発祥は推古36年(628年)。現在の隅田川で観音像が漁師の網にかかり、堂を設け安置したのが浅草寺の起こりとされている。
岩渕地区では流れ出た観音像が成木川、入間川、荒川、隅田川と流され漁師に引き上げられたとして、同地区の代表者が浅草に出向き、岩井堂の観音像であることを確認し、地元の人々が返還要求を長年行っていたと口碑伝承で伝えられている。
昭和初期、本堂の修繕を行う際に岩井堂との関係が密接であることが明らかになり、当時の浅草寺執事長で後の24代貫主・清水谷恭順氏により浅草観音の分身の聖観音像が岩井堂に奉還された。
平成25年に入仏供養されて80周年を迎えたことを記念し、同年から交流を深めようと西川材製の長椅子を贈り始めた。毎年6脚ずつ寄贈し、今年で合計30脚となった。
寄贈には、飯能商工会議所の矢島会頭、金子堅造副会頭、木崎幸長同商議所専務理事、長椅子の製作を手掛けた久保田利明常議員、武居芳明常議員。奥むさし飯能観光協会の柏木正之会長、沼崎修一事務局長。岩井堂関係者として圓照寺(入間市)の児玉俊彦住職、横手勝克さん、山田俊雄さん、小見山進さんが参加した。
長椅子は、樹齢80年程の杉材を使用し、幅35センチ、長さ150センチ、高さ40センチ。側面には、「寄贈 飯能商工会議所 浅草観音ゆかりの地 飯能市岩井堂観音より」と書かれたプレートが取り付けられている。
金子副会頭は「多くの方が喜んで座ってくれて良かった。今年で5年目となり、参拝客も飯能という漢字をきちんと“はんのう”と読んでくれるようになり、認知度が上がったと感じた。長椅子は外に設置してあるため経年変化により汚れてきてしまっているので、来年は削り直しを行い、綺麗にしたい。今後も交流をさらに深めていけたら」と話している。
また、観光協会の柏木会長は「歴史的にも繋がりがあるということを飯能市民に知ってもらうのはもちろん、台東区の方や浅草寺への観光客の方にもPRし、ぜひ飯能、そして岩井堂へお越し頂きたい。PRするためにパンフレットの作成を観光協会として検討している。2028年には浅草寺が建設されて1400年を迎えるので、さらに盛り上げていきたい」と話している。