景観行政団体に移行へ 宮沢湖周辺が重点区
飯能市は、地域の美しい景観を市の独自基準で守る事が出来る「景観行政団体」への移行へ舵を切り、9月の定例市議会に向け、景観条例案提出の準備に入っている。
景観団体は、地域の個性的な景観に欠かせない重要建造物を維持・保全・継承するために、景観重要建造物に指定することが出来、また、新規に建造される一定規模を超える建築物や看板等の工作物については、その外観やデザインが地域の特色ある景観を壊さないように制限を加える事も出来るようになる。
市では、9月の定例会で議会の承認を得られれば、今年度末までには、具体的な景観計画を策定し施行する予定。
景観法は、他の法律と合わせて景観緑三法と呼ばれ、良好な景観の形成を図るため、基本理念や国などの責務を定め、地方自治体が策定する景観計画、景観条例の法的な裏付けとなる日本で初めての景観についての総合的な法律。
景観団体は、景観法に基づく実際の施策の大部分を推進する実施主体で、都道府県、指定都市、中核市のすべてが該当する。また、その他の市町村も都道府県と協議し、景観団体としてふさわしいと判断されれば、景観団体に移行出来る。
景観団体は、自治体独自の景観計画を策定し、地域の景観を維持するために、新規に建設される建物の形態や色彩、材質について制限を加えたり、高さなどに制限を設け、届出を必要とすることで、低く抑えるように誘導したりすることが可能になる。
また、景観上重要な建築物や樹木などを保全するため、景観重要建築物・樹木として積極的に指定し、改築など現状変更を行う場合は、許可制にして制限を加えることも出来る。
景観建築物に指定された場合は、相続税等の評価方法に優遇措置がある。
県は、景観建造物を指定しているが、7件のうち4件が同市に集中している。同市がいかに優れた地域独自の景観を有し、景観団体にふさわしいかを物語っている。その4件は、上名栗の旧平沼寛一郎邸、坂石町分の吾野宿・石田家、同じく吾野宿の大河原家及び、高山家。いずれも周囲の景観の中核をなす歴史ある古民家。
市では、昨年度から景観計画策定のための基礎調査を開始しており、今年度も引き続き調査を行っている。
最初に、メッツァオープンに向け、無秩序な開発が懸念される宮沢湖周辺地区を景観形成重点地区として定め、景観計画策定日と施行日を来年3月末に同時に実施する予定。既に同地区で地元説明会を開催している。
市は、宮沢湖の次は、飯能の中心市街地や、名栗、吾野地区などで順次景観の維持、保全に向けた取り組みを推進していくことを検討している。