スピード感や市民感覚持ち仕事を 新人職員に心構え説く
日高市の谷ケ﨑照雄市長は、平成29年度の新規採用職員16人を前に講話を行った。市長講話は新人研修の一環として行われたもので、谷ケ﨑市長は初々しい表情の新人職員を前に、親切丁寧な接遇、スピード感や市民感覚を持って仕事に取り組むことの必要性など、市民のために働く市職員としての心構えを説いた。
「私は昭和52年に役所に入り、職員として35年間市のお世話になった。最後は副市長を務めたが、先代の市長が急に亡くなり選挙になってしまったため、副市長としての期間はわずか39日間だった。市長選に立候補し当選させて頂いてから5年、職員時代と合わせて計40年が経つ」。
はじめに自己紹介を行った谷ケ﨑市長は、「皆さんには1日も早く慣れ、戦力となって欲しい。仕事を早く覚えるにはどうしたらいいか。市には予算書がある。それを読むと、仕事の内容が良く分かる。いくらかかり、国、県からの補助金、市の持ち出しがどのくらいあるのか、細かいことが全て載っている。市には一般会計、特別会計で大きく7つの財布があり、合計金額は約360億円。これで1年間の市民サービスをやっていく。ぜひ予算書を見て欲しい」。
また、市が掲げる行政経営理念「5つのC」として、チャレンジ、チェック、コストダウン、コミュニケーション、クリーンを挙げ、「市民の方々が公務員を見る目というのは年々厳しくなっている。市民の見本になるように努め、目標を定めてクリアできるように頑張って欲しい」と述べた。
市民への対応については、埼玉医大国際医療センターで行われたダライラマ氏の講話を紹介し、「氏は医者にとって一番大切なのは温かい心だと言っていた。市役所も同じ。訪れる人は役所のことはわからない場合が多い。分かりやすく、親切丁寧に、温かな接遇を心掛けて欲しい」。
このほか、「スピード感を持って仕事をして欲しい。検討しますと言って先延ばしにするのは簡単だが、それではだめ。即断即決し、明日からでも取り組むような姿勢が必要」。
「市民の意見を良く聞き、事業に反映して欲しい。どんどん外へ出て、市民と話をする。市民が何を求めているのかが良く分かる。市民感覚を失わないでもらいたい」。
また、「今、県内63市町村の中で日高のランキングがどのくらいなのか、分野別にすぐに分かる。例えば、生産年齢人口は56位、一方で老年人口は18位。良いデータでは人口10万人あたりの医師数が2位、また、犯罪や交通事故の発生率が低い。常にこうしたランキングを意識して仕事をし、できるだけランクを上げていくような努力をして欲しい」などと求めた。
自身の施政方針について「私は、政策の柱として“まちづくりは人づくり”を掲げている。子育て支援や教育には特に力を入れている。将来を担っていく子どもたちを支えていくのは大事なこと。教育というのはすぐには効果が表れないが、地道に予算を投入してやっていかねばならない。学校の耐震も全て完了し、冷暖房も設置した。整った学習環境の中で、人の痛みが分かる子、将来の選択肢を広げられるような子どもたちを育てたい」。
「日高で一番課題となっているのは高齢化と人口減少。市の高齢化率は30%を超えた。人口は平成23年のピーク時と比べ1400人減っている。人口が減ると企業は生産を減らし従業員を減らすというような悪循環に陥ってしまう。人口減少は全国的な問題で、市町村が人口を奪い合うというのは好ましいことではないが、市の魅力を広くPRしていかねばならないと感じている。東京になくて日高にあるものは自然。昨年、巾着田には145校もの学校が遠足に訪れている。子どもたちがリピーターとなり、将来、市に住んでもらえるような事業を進めている」などと述べた。
新人職員は熱心にメモを取るなど真剣な表情で講話に耳を傾けた。講話後には庁舎の外に移動し、災害時に備えた土嚢作りの研修が行われ、先輩職員から「災害が発生した時には市民の安全のために迅速に行動して欲しい」などと指導を受け、土嚢の作り方を学んだ。