創立30周年を祝福 ぬくもり福祉会たんぽぽ
飯能市落合を拠点に市内で介護・看護・子育て支援サービスなどを展開する認定NPO法人「ぬくもり福祉会たんぽぽ」(桑山和子会長)が創立30周年を迎えた。
同会は昭和61年、飯能市中央公民館の女性講座をきっかけに、女性問題研究会「たんぽぽ」として発足。「困ったときはお互いさま」を合言葉に、助け合いの市民組織としてヘルパー研修、子育て支援、配食・移送サービスなどの事業に着手し、平成11年、県内で初めてNPO法人の認証を取得。地域福祉活動のパイオニアとして、利用者のニーズに適したサービス提供を心掛けてきた。
3月中には福祉や地域関係者など約150人を招いてヘリテイジ飯能で記念式典を開き、30年のあゆみを振り返るとともに節目を祝った。
NPO法人取得の翌年、平成12年からは介護保険法による事業所としての活動をスタートし、通所介護「ぬくもりの館」、訪問介護「たんぽぽ訪問介護」、居宅介護支援「ケアプランたんぽぽ」の3事業所を皮切りに、グループホーム「メゾネットたんぽぽ」、通所介護「田園倶楽部」、屋外型サロン「ソーシャルファームフラワーガーデン」、ショートステイ「リゾートたんぽぽ」などを次々オープン。
現在は通所・訪問・居宅介護、グループホーム、障害者福祉サービスのほか、障害者や高齢者の雇用の創出として農業分野でのソーシャルファーム事業など、幅広い分野で250人の職員が活躍している。
桑山会長は「介護保険が始まる前の15年は、情報が少ない中であらゆる創造力や情報を駆使し、市民を味方に独自の介護や福祉理論を追求し実践した。たんぽぽの基礎を築いた創世記だった。NPO法人を取得してからも“困ったときはお互いさま”の理念はずっと受け継がれている」と会の歩みを振り返る。
節目を祝う記念式典には、福祉や地域関係者が多数出席。社会福祉法人済生会の炭谷茂理事長、大久保勝飯能市長、医療法人徳明会小室クリニックの小室舜一理事長が挨拶に立ち、長年にわたる地域福祉分野での活躍を称え、今後の一層の飛躍に期待、内沼博史県議の音頭で祝杯を交わした。
会場では、「たんぽぽ青春ストーリー」と題したビデオ上映や福祉教育を通じてたんぽぽと関わりの深い飯能市立加治小学校の5年生・小島大和君によるウクレレ演奏などが行われた。
大勢の来場者を前に桑山会長は「たんぽぽは、人と人との出会いを大切に歩んできた。皆様方との出会いがたんぽぽを育ててくれた」と笑顔で感謝。
「産業が変わりつつあり、人工知能を駆使した社会が目前に迫っている。しかし、精神的豊かさを共有し、心を通い合わせていく福祉文化はロボットには踏み込めない世界。それが福祉の魅力ではないか。だから福祉が経済をリードし、人間力で勝負できるのだと思う。福祉・介護の新しい世界観を築く、“未来へのレガシー”に向けて一丸となって取り組んで参りたい」と抱負を語った。