雨水、下水処理など住民切実 長期化する双南区画整理

 飯能市は、入間市との行政境界の西側エリア約48・5ヘクタールで、平成4年度から「双柳南部土地区画整理事業」に着手しているが、税収の落ち込みや家屋の移転戸数が多いなどから、事業は長期化の様相を呈している。

 そこで、市は地区の全権利者を対象に今後のまちづくりの進め方などについて尋ねるアンケート調査を実施。その結果、「計画を見直し、長期化を解消した方が良い」が58%となり、現状維持の「時間がかかっても計画どおり進めた方が良い」の32・5%を25・5ポイント上回るなど、過半数の地権者が事業の再考を要請していることが分かった。

 調査対象は、事業地区内に土地を所有、あるいは借地している全地権者1105人で、そのうち、665人が回答を寄せた。回収率は60・1%。

 アンケートの設問は回答者の属性、住んでいるエリア、土地の状況、土地は自宅用か農地用かなど用途の別、建築行為等の制限を知っているか、現在の整備・利便性に満足しているか、事業の進捗について感じていること、双柳南部地区の今後、事業・整備内容に期待すること──など。

 それによると、当初計画から約23年が経過した現在の整備・利便性の満足度について尋ねると、「やや不満」を合わせた「不満」の割合が最も多かったのは「雨水の整備」で、全体の約6割が不満に感じていた。以下、不満回答は「生活道路の整備」55・3%、「下水道の整備」48・1%と続いた。

 一方、バスなど公共交通、地区行政センター、買い物の利便性、風水害や地震などに対する防災面ついての満足度は比較的高かった。

 整備を行っていく上で、何が重要かとの問いには「やや重要」を加えた「重要」との回答は、多い順に「雨水の整備」69・4%、「下水の整備」67・6%、「生活道路の整備」65%、「緊急車両(消防、救急車)進入の安心度」60・4%、「通学路など歩行者に対する安全性」60・3%。

 雨水排水と下水の処理とともに、緊急車両が入れない入り組んだ狭い道幅の道路などの改善を求める声がいずれも6割を超えた。

 双柳南部地区区画整理事業の進み具合については、78・6%が「遅い」「やや遅い」と答え、最多。「普通」は15・9%、「早い」「やや早い」は、わずか1・5%にとどまった。

 同地区のこれからについては、「今の計画を見直し、長期化を解消した方が良い」との回答が58%となり、「時間がかかっても計画どおり事業を進めた方が良い」32・5%を大きく上回った。

 事業の見直しを望んだ人に、その理由を尋ねると、「事業が長期化し世代交代も進む状況にあり、今後の生活設計の見通しが成り立たない」が60・9%、「道路など公共施設を変更することで、建物移転を減らし、事業期間を短縮することで早期に土地利用を図りたい」が20・7%、「建築行為の規制が緩和され、建築物等の建て替えをしたいため」が4・9%となった。

 土地区画整理事業では、地権者が土地を出し合い、道路や公園などの用地を生み出し、家屋移転して整った街区を整備、公共下水道などのライフラインを敷設する。そのため、事業化されることによって各自が所有する土地などの使用に法的規制がかかり、事業の長期化は住宅の建て替えができないなどといった課題も生む。