死亡事故5件目に沈痛 特別対策地域の日高市

バイクの運転者が死亡した上鹿山の県道飯能寄居線

 交通死亡事故の増加に伴い、県から「交通事故防止特別対策地域」の指定を受けている日高市で3日に死亡事故が発生し、市内での交通事故による死者数は5人となった。事故防止の取り組みを進める最中の悲報に、関係者は沈痛の表情を浮かべている。

 5件目となった死亡事故は、上鹿山の県道飯能寄居線バイパスで3日午後5時15分頃に発生。資材置き場から毛呂山方面に右折しようとした41歳男性が運転する乗用車が飯能方面へ直進してきたバイクと衝突、バイクを運転していた20歳男性が全身を強く打って死亡した。また、後方を走っていた19歳男性運転のバイクも避けきれずに乗用車に衝突したが、けがはなかった。

 今回の事故により、日高市では死者5人のうち3人がバイクの運転者。いずれも車両との衝突が原因で死亡している。

 過去2件のバイク運転者の死亡事故のケースを見ると、8月30日午前7時15分頃、馬引沢地内の県道日高狭山線で原付バイクを運転していた40歳女性のが、交差点を左折してきたタンクローリーに巻き込まれ女性が死亡。

 9月2日には女影地内の県道川越日高線で午後7時15分頃、29歳男性が運転するバイクが、前方のコンビニ駐車場から出てきた乗用車に驚き男性が転倒、乗用車の後部に衝突後、さらに反対車線を走っていた軽自動車に衝突し死亡した。

 交通事故防止特別対策地域は死亡事故が増加・多発している市町村に対して知事が指定し、関係機関が3か月間の集中的な交通安全対策に取り組むもの。

 日高市は1月から9月までの間に4人が死亡し、過去3年間の同時期平均より3人増などの条件に該当し、12月22日までの間、特別対策地域に指定された。

 市は指定に伴い、対策本部を立ち上げ、①運転者の交通事故防止②幹線道路における交通事故防止③子どもと高齢者の交通事故防止④市民に対する交通事故発生情報の積極的な提供──の大綱に沿って、推進計画や重点実施事項を策定。

 これまでの間、飯能署や関係機関・団体と連携し、幹線道路の交差点での自動車や二輪車に対する啓発活動、見通しの悪い交差点への啓発看板設置、小学校での交通安全教室、高齢者向けの交通安全教室、自動車学校を利用した高齢運転者安全運転競技会の開催、市道への路面標示、反射鏡の設置などを進めてきた。

 指定以降、市内では死亡事故がなかっただけに、今回の事故は関係者にとって大きなショック。市は「引き続き交通安全の取り組みを重点的に進めていく。市内の死亡事故はいずれも幹線道路沿いで発生している。通勤時間帯や夜間など、場所や時間帯を変えて啓発を行い、運転者、高齢者、自転車利用者などに注意を促していく必要がある」としている。