浄化センターにイノシシ 委託業者、構内でバッタリ
飯能市征矢町の市下水処理、浄化センターに子連れのイノシシが頻繁に出没、付近住民や職員などへの人的被害も心配されるため、市は急遽、構内に檻状の罠を仕掛けた。同センター職員によると、分かっているだけでもイノシシは、11日から15日までに3度現れ、地面を鼻で掘るなどの行動をしたり、近寄った職員に唸り声を上げて威嚇するなどしているという。
市浄化センターがある付近は、入間川と成木川の二つの河川が流れる市街化区域だが、かつての田園地帯の名残りがあるなど、自然環境は豊か。河畔には大小さまざまな樹木が茂り、ドングリなどが生る雑木類も自生する。
河原は背丈のある雑草が隙間なく繁茂し、枝を広げる樹木と相まって、野生動物のねぐらに好適な環境を形成している。
一帯は土地区画整理が終了し、住宅立地も進展する。が、河畔林によって同センターにはキジやハクビシン、タヌキなどの鳥獣も姿を見せる。今年5月には、シカが迷い込んだこともあったという。
最初にイノシシの姿が目撃されたのは、11日午後6時半頃。敷地北端の市道を散歩中の市民が構内にいる2頭のイノシシをフェンス越しに発見し、センターに通報。14日は、午後6時頃、構内巡視中の施設委託業者の男性所長(53)が出くわした。
男性は、「懐中電灯を照らして巡視していたところ、3~4メートルほど先で、地面を鼻で掘っていた。こちらに気が付いて『ブヒッ、ブヒッ』と威嚇されて怖かった」と振り返る。翌日の全体朝礼で、男性は「見かけたら、刺激しないように」と部下に訓示した。
遭遇した場所は敷地南西側で、市道を挟んで市が売電する太陽光発電施設がある。さらに、15日午前10時頃にも姿を現した。目撃されたイノシシは、いずれも親子と思われる2頭だったという。
住宅地に近接しているため、市は人に危害が及んではと、ただちに捕獲用の罠を構内に仕掛けた。縦83センチ、横86センチ、奥行き206センチの鉄製の罠で、イノシシが中に入ると、両側の扉が自動的に閉まる仕組み。誘引用に、イノシシが好む「ジャガイモ」と「米糠」も地面に撒いた。
子連れイノシシは、東側の入間川河川敷から現れ、市道を越えてセンター敷地と道路の間のフェンスをくぐり、最初沈殿池や反応タンク、最終沈殿池など一連の下水処理施設の北端を通って、シイノキがある敷地西側から南へ向かうルートで構内に侵入していると見られる。
市は今年いっぱい罠を仕掛け、捕獲できた場合は殺処分する方針。過去、市公共施設にイノシシが現れたことは一度もないという。