自叙伝「一粒の糧」 出版記念・感謝の会に300人

 

「人生は出会い」と語る田辺氏

 實秀山安養寺の貫主で、中央商事(飯能市新光)前社長の田辺實氏(73)が、幼少期から学生・サラリーマン時代や独立創業後、業種転換し、僧侶の道を歩むことを決意、現在に至る間の紆余曲折や人との出会いなどを自叙伝「一粒の糧」(A5判、204ページ)=文化新聞社印刷=としてまとめた。

 15日、ヘリテイジ飯能で市内外の政財界から約300人が出席、出版記念並びに感謝の会が発起人会(代表発起人・石井道夫県医師会副議長ら3人)により、盛大に催された。席上、田辺氏は飯能市の「ムーミン基金」に100万円を寄付した。

 出版記念並びに感謝の会は、日ごろから田辺氏と親交の深い人たちが発起人会を組織、企画したもの。歌手の平浩二さん、小松みどりさんの歌謡ショー後、式へと移り、代表して石井道夫県医師会副議長があいさつ。「田辺さんが自叙伝を出されたということで、お祝いをしようということになった。自叙伝に書かれているとおり、彼は本当に苦労して今日まできた」と足跡を称えた。

 来賓祝辞では、元衆院議員の大野松茂氏が「日ごろから格別お世話になっている田辺さんが自叙伝を出された。田辺さんとの付合いが始まったのは、ギフト分野で仕事をされていた時」とし、「この地域の業界の草分けで熱心に事業展開され、そして中央商事を立ち上げ、葬祭の分野に進出された。地域にこれほど貢献され、続けていることに心から敬意を表したい」。

 大塚拓衆院議員が「そうそうたる皆様方をお迎えして盛大に開かれたこと心からお喜び申し上げる。田辺貫主には、大変お世話になっている。この地域の名士中の名士。ご苦労をされながら中央商事を大きくされてきた。田辺さんがさらにご活躍されることを心から祈念する」などと述べた。

 「ムーミン」関連グッズを返礼品にした飯能市のふるさと納税が、全国的にも注目を集めている。納税希望者はムーミン基金、森林文化都市基金、緑の基金など使い道を指定でき、うちムーミン基金については宮沢湖に来年計画されているムーミンテーマパーク「メッツァ」と連携した観光施策の推進を図るために活用される。田辺氏は同基金に100万円の寄付を申し出、会場で大久保勝市長に贈った。

 寄付金に対しての感謝状を贈呈した大久保市長は、「素晴らしい出版記念パーティーを喜ぶ。これからも田辺先生のご活躍、そしてまた飯能市に対してもご指導賜りたい」と述べた。

 小谷野五雄自民党県議団長は「いろいろと話しが出たが、私はこのように感じている。田辺貫主が興した中央商事さん。会議にも少し顔を出させて頂いたが凄いと思った。とかく政治家は頭からガツンと言って、俺の言うことを聞かないのかといった感じがあるが、田辺さんの経営方針はまず聞こうと。聞いて、何を感じたか吸収してから指摘をしようじゃないかという姿勢。それを見て私は素晴らしいと思った」と感嘆した。

 この後、田中龍夫入間市長、小谷野剛狭山市長、砂長恒夫飯能市議会議長らも祝辞を述べた。

 ▽田辺氏感謝の言葉

 「今回の出版を考えたのは、会社の45年の歴史を話してもらいたいと中央商事の社長から言われた。そして書き出したが、孫のお守りでなかなか前に進まない。そんな時、そうだ自叙伝にして、孫たちに贈りたいなと思った。

 いろいろと思い出しながら書いていると、本当に多くの人々に助けられ、励まされて私の人生はあるんだということを感じた。本当に有難いなと思う。

 大野松茂先生、この出会いが中央商事45年を守った。そして、安養寺13年が経つが、檀家も1700軒を超えるところまできた。本当に大野先生の強いお力のおかげである。

 そして、何よりも今日ご臨席の皆様方におかれては感謝の気持ちでいっぱいである。やはり、人生は出会いであると私は思っている。

 そして、皆様方にお世話になったこの感謝の気持ちをどのような形で皆様方に恩返ししたらいいのかと考えた。そして、私なりに私の人生は出会いによって今がある。だとすれば、やはり皆様方に出会いの場を持って頂こうというのが、これが一つの恩返しになるのではないのかと勝手に思った。

 そういう意味でも今日の会が皆様方にとって意義のある出会いの会になることをご祈念申し上げ、感謝の言葉に代えさせて頂きたい」。

 田辺氏は昭和47年に中央商事(株)を創業、平成16年に天台寺門宗総本山円満院門跡で得度、安養寺敬学真宗を開基し、安養寺4か寺の貫主を務めている。

 「一粒の糧」は、「愛する孫たちに自分の生き様を伝えたい」と、そうした田辺氏の足跡がありのままに綴られている。第1章「起業家の道」、第2章「僧侶の道」の2部構成。1章では言語障害ー初の試練、独立への決意・そして波乱のスタート、夢の本社倉庫建設に一歩前進などのほか、カタログギフト販売の失敗や過労で倒れ入院、法要殿建設への布石、順調でなかった法要殿新設、地域発の経営発表会などが盛り込まれた。

 また、2章では僧侶への道円満院門跡での得度・そして安養寺代表役員の就任から始まって、「心のよりどころとなる寺」を作る、寺院建設、埼玉分院御本尊阿弥陀如来、埼玉分院の許可申請、地域初の納骨堂設置、香川本院の再建などが記されている。