我が物顔のイノシシ 農作物をむしゃむしゃ

畑で作物をあさるイノシシ

 山間部を中心に飯能市内ではイノシシによる農作物被害が相次いでいるが、10日には同市落合地区の住宅地に出没し、農作物を食害した上、遠巻きの住民らを威嚇、近くの山林へ逃亡する騒ぎがあった。

 正午前、西光寺東側の畑で、サトイモなどを食い荒らしているイノシシがいるのを近くの住民が発見。一帯は住宅が近接し、散歩する人たちも少なくないため、人的被害があっては大変と119番通報。

 ほどなくして、消防とともに飯能署員も駆けつけ、畑の真ん中でゆうゆうと作物を食べ続けるイノシシをじわじわ包囲。が、危険を察知したイノシシは隙をついて逃走、民家の敷地を突っ切って県道を越え、地区南側の加治丘陵に消えていった。

 発見から逃走まで、およそ30分。この間、消防車両のサイレンを聞き付けた住民が家々から飛び出し、現場は一時騒然に。

 70代男性は、「あのイノシシはまだ、子ども。といっても、突進してきたら危ない」と顔を強張らす。

 市農林課によると、今年度、市内での大型獣などの目撃情報は233件となり、そのうち138件がイノシシがらみ。イノシシの場合、今年は人家近くへの出没が頻繁という。

 平年よりも多く、個体数の増加傾向が見られ、幸いにも人への被害は今のところないが、同課は「イノシシを見かけたら、農林課まで連絡してほしい」と話している。

 県は、ホームページ上で「イノシシに遭遇したら」として、「大声を出したり、犬をけしかけたり、物を投げたり、棒で追い立てたりすると、興奮して人を襲ってくる可能性がある」「住宅地等に入り込んだ時には、興奮している可能性が高いので、そのようなイノシシを見つけたら速やかに安全な場所へ避難を」と注意喚起。

 また、イノシシは興奮すると人に向かって突進してくることがあるため、「そっと立ち去ってほしい」などと呼び掛けている。