死亡事故ゼロ掲げ 重点実施事項まとめる 特別対策地域の日高市

 交通死亡事故の増加に伴い、県から「交通事故防止特別対策地域」の指定を受けた日高市は、谷ケ﨑照雄市長を本部長とする交通事故防止特別対策本部を設置し、同対策大綱に基づいて推進計画書を策定、重点実施事項をまとめた。

 12月22日までの期間中、交通死亡事故ゼロを目標に、主要交差点や店舗駐車場での啓発活動をはじめ、広報紙や市ホームページ、防災行政無線(広報塔)を使った広報、高齢者や児童生徒を対象とした交通安全教室、道路危険個所の点検や対策などを実施する。

 日高市の今年の交通事故による死者数は5日現在で4人。1月に1人、8月に2人、9月に1人が亡くなった。交通事故防止特別対策地域は、死亡事故が増加・多発している市町村に対して知事が指定し、関係機関が3か月間の集中的な交通安全対策に取り組むもの。人口10万人未満の市では、過去3年間の同時期平均より3人増、または過去3か月間の死者数が3人に達した場合に指定され、日高市は両者の条件に該当した。

 同地域の指定を受けた市は、県、県警本部、飯能署の関係者による連絡会議で市内の交通事故の発生状況を踏まえ、特別対策の指針となる大綱として次の4項目を定めた。

 ①運転者の交通事故防止▽車両運転時の交通法令を遵守させる交通安全教育の推進▽事業所等での交通安全教育を推進させる働きかけ▽特に二輪車に対する交通事故防止活動の推進。

 ②幹線道路における交通事故防止▽交通事故多発交差点における立哨活動など通過車両対策の強化▽速度抑制を促す交通事故防止活動の推進▽交差点の視認性等を確保する対策の推進。

 ③子どもと高齢者の交通事故防止▽夕暮れ時と夜間の交通事故防止対策の推進▽歩行者・自転車に対する反射材着用の推進▽道路横断時に安全確認をさせる対策の推進。

 ④市民に対する交通事故発生情報の積極的な提供。

 その後、谷ケ﨑市長を本部長に、市交通安全推進協議会の構成員をメンバーとする対策本部が発足し、3日に推進会議を開催。同大綱に基づく推進計画を立案し、交通死亡事故ゼロを目標に掲げ、「関係団体と連携・協力し市民に広く交通事故防止を呼びかけ、交通安全意識の高揚を図るとともに、道路環境等の整備に取り組む」として重点実施事項をまとめた。

 広報活動については、市の広報紙、ホームページ、チラシでの広報に加え、防災行政無線を活用して毎週金曜日に安全運転を呼びかけるほか、市内8か所に設置されている電光掲示板付き自動販売機に表示する。また、市役所入口に懸垂幕、庁舎周辺にのぼり旗、公用車にマグネットシートを張り注意喚起する。

 啓発活動では、市内交差点に加え、コンビニエンスストア等の店舗駐車場での街頭活動、青パトでの市内巡回、市民まつりに交通安全コーナーを設けての啓発を行う。

 交通安全教育活動では、飯能署と協力して高齢運転者安全運転競技大会の実施や小中学校での交通安全教室の実施、自転車用ヘルメット着用の推進、市職員に対する交通安全教育の実施などを行う。

 また、交通安全施設の点検・見直しとして、道路危険箇所の点検・対策、小中学校付近の横断歩道の点検・整備、道路照明等・反射鏡の点検・整備などを実施する。

 日高市の昨年の死亡事故件数はゼロ。平成25年から27年まで、交通安全対策に積極的に取り組み交通事故防止に尽力した交通安全推進市町村として、埼玉県や県警などが主催する「埼玉県交通安全功労者等表彰」で3年連続して表彰を受けており、今年の死亡事故の急増は関係者にもショックを与えている。

 市は重点実施項目の取り組みを通じ、死亡事故ゼロ、交通事故の減少を目指すとし、「交通事故の多くは基本的な交通ルールを守っていないことから発生している。一人ひとりが思いやりと優しさを持って交通安全に取り組んで頂きたい」と協力を呼びかけている。