飯能市議会一般質問 中元議員「聴覚障害者の手話通訳派遣制度」
飯能市議会の中元太議員(公明)は、9月定例会一般質問(1日)に登壇し、手話通訳者派遣制度について質した。
同議員によると、聴覚障害者がファクスで119番通報した場合、狭山市などは手話通訳者も一緒も呼ぶことができる。埼玉西部消防組合構成5市のうち、24時間体制の手話通訳者派遣制度を設けていないのは飯能と日高の2市だけという。
▽中元議員=市の手話通訳者派遣制度の進捗は。平成28年4月1日、障害者差別解消法が施行された。この法律はすべての国民が生涯の有無によってわけ隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重しあいながら、ともに生きる社会の実現に向け障害を理由とする差別の解消を推進することを目的としたもの。この法律では不当な差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供を規定している。
不当な差別的取り扱いの禁止とは、生涯のある方に対して正当な理由がなく、障害を理由として差別することを禁止している。また、合理的配慮の提供とは、障害のある方から社会的障壁を取り除くために何らかの意思が伝えられた時に負担が重すぎないような配慮があるが、採用することであり、国の行政機関や地方公共団体では、この合理的配慮の提供が義務付けられた。努力義務ではない。
市の手話通訳者派遣制度の構築というのは、まさに合理的な配慮としてなくてはならない事業であると私は考える。この制度の構築については2年ほど前の6月議会一般質問でも取り上げた。
その時に関係各課を含めて、これはどうしても実施に向けて検討するという市長の万感こもる答弁を頂いた。関係者と情報交換会や協議会などでどのような話し合いをされたのか含め、検討状況を聞く。
▽坂本実健康福祉部長=本市の聴覚障害の方への手話通訳無派遣事業については現在、社会福祉法人埼玉聴覚障害者福祉会への委託によって行っている。派遣実績だが、平成27年度は6人の方に対し73回の派遣を行った。
市の手話通訳者派遣制度構築については、以前中元議員にお質し頂き、聴覚障害者の会の方や手話サークルの方などのご意見も伺い、話し合いを行ったところ、市の派遣制度の構築はとても重要であり必要とのご意見を頂いた。
そして、そのためには何が必要か話し合ったところ、本市の状況では手話通訳の有資格者が少なく、すぐに制度の構築は難しいが、まずは手話をできる方を増やすことが先決ではないかとのご意見を頂いた。
そのため、手話通訳者が増えるよう要請講座を行ってきたが、残念ながら現時点では派遣制度の構築までに至っておらず、埼玉聴覚障害者福祉会への委託で実施している状況である。
▽中元議員=市としても育成のための講座であるとか、行ってきて頂いたということは知っている。ツーデーマーチなど市のさまざまなイベントに手話通訳者を設置して頂き、以前よりは良くなってきたと感じている。
ただ、課題は埼玉聴覚福祉会への委託だけでは緊急時の対応ができないという点である。2年前の一般質問もこのことがポイントだった。7月末、埼玉西部消防組合議会で一般質問をし、要望もさせて頂いた。どうしてもやりたかったものがこれである。
埼玉西部消防局として聴覚障害者への対応、手話通訳者の派遣体制の現状と課題について、どのように考えているかと最後に質問したところ、消防長は「構成5市のうち、所沢、狭山、入間については24時間体制での手話通訳者の派遣体制が構築されているので、構成5市が同一の体制をとれることが望ましいと考える」との答弁を頂いた。
埼玉西部消防組合構成5市のうち、市で派遣制度がないのは飯能と日高だけである。他の3市は24時間体制で救急車が必要になった時などの体制を整えている。狭山の手話通訳者派遣制度は、119番でファクスを送ると手話通訳者も一緒に呼ぶことができる。
市で派遣制度を構築する間だけでも、近隣市へ応援を求めることはできないのか。
▽坂本部長=緊急時の対応については派遣制度がある近隣市に応援の依頼を行ったが、人材が少ないなどの理由から、残念ながら難しいとの回答である。
▽中元議員=本当に残念なことである。しかし、緊急時の体制整備というは早急に解決しなければならない問題である。聴覚障害者の方が不安な思いを抱くことなく、安心して暮らせる飯能市になるためには、このような緊急時の体制が必要と考えるが、どのように考えるか、再度聞く。
▽坂本部長=中元議員お質しの内容は非常に重要な課題と認識している。1日でも早く聴覚障害者の方が不安を感じることのないような体制をしなければと考える。このため現在、具体的な近隣市の派遣制度の運営の仕組みや人数、費用などを調査している。
課題もあるが、担当としては聴覚障害者の会の方や手話サークルの会の方のお力を借り、庁内合意を得て進めたいと考える。