初の避難準備情報発令 台風9号被害

 日高市は、22日に首都圏を直撃した台風9号による市内の被害状況をまとめ、25日に開かれた市議会全員協議会に報告した。市のまとめによると、人的被害はなく、床下浸水19件(家屋15件・工場4件)、冠水などによる道路通行止め10か所、河川溢水7か所、倒木10件、農作物被害は水稲2か所約6000平方メートル。

 河川溢水や土砂災害警戒区域への避難準備情報発令により、高萩公民館に2家族6人、総合福祉センターに5家族15人が一時避難した。

 全協では危機管理防災課が被害状況と合わせて市の対応を報告。

 市の対応については、22日午前4時25分に気象庁から大雨洪水警報が発令され、担当職員が市役所に参集し待機。11時45分に土砂災害警戒情報が発令され、12時30分に警戒体制第1配備を敷き職員42人で災害対応。

 午後1時20分に市から土砂災害警戒区域へ避難準備情報を発令し避難所として6公民館と総合福祉センターを開設した。

 避難準備情報は避難勧告の一歩前の段階として、避難が必要となる場合に備えて準備をして欲しいというもの。

 土砂災害警戒区域に該当する12区の区長に電話連絡するとともに、エリアメールでの発信、市のホームページに記載した。避難者は最大で7家族21人となり、いずれも午後5時20分までに帰宅した。

 市は午後5時に警戒体制第1配備を解き、6時半に土砂災害警戒情報、避難準備情報を解除し避難所を閉鎖、9時45分に気象庁の大雨洪水警報が解除された。

 市役所に設置された雨量計で観測した雨量は、22日午前4時25分に大雨洪水警報が発令されてからの積算雨量は179ミリで、このうち午前11時から午後2時までの3時間の間に133ミリを記録した。

 これらの報告を受けた議員からは、「避難準備情報発令の際、防災行政無線(広報塔)での放送をしなかったが、なぜか」との質問があり、担当者は「防災行政無線は有効な手段だが、今回は相当の雨と風だったため、聞き取りが困難ではないかと判断し、放送を見合わせた」と答えた。

 谷ケ﨑照雄市長は、「短時間に非常に集中した雨が降り、日高市としては初めて避難準備情報を発令した。職員や消防は懸命に市内の警戒にあたったが、想定を超えた雨の量で予期せぬ事態もあった。今回の状況を踏まえ次に備えたい」などと述べた。