5次総振採決で賛否討論 平沼議員賛成 飯能市議会

 【平沼弘議員(緑の会3)の賛成討論】

 第5次総合振興計画は人口減少、少子高齢化の急速な進行や、中心市街地や山間地域の活力低下などの課題が山積する中、社会の流れや現状を見据え、市民ニーズや第4次総合振興計画の到達点と課題を整理した上で、今後のまちづくりに求められる視点を明らかにし、平成28年度から平成37年度までの10か年を計画期間として策定されたものである。特に、人口減少と少子高齢化への対応は、本市において最大かつ喫緊の課題である。

 これを踏まえて、まちづくりの基本理念の冒頭には変える10年!変わる10年!飯能市から始まる日本の創生が位置づけられている。人口減少を始めとする地方都市の活力低迷に本市が敢然と立ち上がり、これからの10年で飯能のまちを変える、飯能から日本の創生を牽引していくとの決意を市民、事業者、行政が共有し、オール飯能体制、市民総力でまちづくりに取り組んでいくとの強い思いが伺えられる。

 人口減少、少子高齢化に歯止めをかけ、まちに賑わいと活力を創出し、「消滅可能性都市」から「発展可能性都市」へ積極的な転換を図ろうとする市の強い思い、基本姿勢は計画全体にわたって貫かれており、これからの飯能市の飛躍を大いに期待するところである。

 ■明確なまちづくり

 将来都市像には「水と緑の交流拠点 森林文化都市はんのう」を掲げ、都心に近く、多様で豊かな自然は近隣市にはない本市最大の地域資源である。また、市民の誰もが誇りと愛着を感じる貴重な財産でもあり、自然との共存、共生は本市のまちづくりの基本である。

 そして、この理念を共有する新たな交流拠点「メッツァ」と強く連携を図りつつ、本市の広大な森林を含む市域全体のスケールで、魅力や賑わいの創出に取り組むなど、森林文化都市の理念を踏まえたまちづくりを全市的に展開していく方向性が明白になっている。

 本市の地域特性を十二分に生かし、水と緑の交流をまちづくりの新機軸に位置付け、積極的にまちづくりの刷新を図ろうとする姿勢には強く共感し、他の自治体に誇れるまちづくりの方向性として高く評価するとともに、今後の具体的な施策の展開を大いに期待するところである。

 平成37年度の目標人口は8万人と設定し、初めて政策想定人口の概念を取り入れた。全国的に人口減少傾向がさらに厳しさを増す中、現状を維持することの難しさはあると思うが、メッツァと一体感のある連携による活性化とともに、企業誘致や飯能住まい、安心して出産、子育てや仕事の両立ができる若者世代にやさしいまちづくり等、大胆な政策と自然増、社会増の拡大に向けた施策を総合的、戦略的に展開し、内外の人を惹きつけ魅了する住みたいまち、住み続けたいまちの実現を大いに期待するところである。

 また、新たに目標交流人口480万人を設定し、定住人口の大幅な増加が見込めない中、まちの賑わいや活性化を図っていくためには、本市の多くの方に訪れていただき、その人の流れを中心市街地や山間地域など市内全域へとつなぎ、賑わいと経済的な活力などの好循環を作り出していくことが重要である。このように目標交流人口を設定したことは、まさに時宜を得たものと高く評価する。

 ■前向きな姿勢

 シンボルプロジェクトは将来都市像の実現と目標人口の達成を目指し、また消滅可能性都市から発展可能性都市へ積極的な転換を図るため、戦略的な取組を4つ位置付け、オール飯能体制の下で推進するとしている。いずれも、まちづくりの刷新を図ろうとする市の前向きな姿勢が表われたものだが、特にオンリーワンの森林文化都市創造プロジェクトの都市回廊空間の形成は、プロジェクトの中でも象徴的な取組として位置付けられている。

 メッツァを交流拠点の核に据え、市街地を囲むように点在するあけぼの子どの森公園、飯能河原・天覧山周辺等の既存の交流スポットを連結する都市回廊空間を形成し、一体感と相乗効果を高め、人の流れや賑わいを市街地、さらには山間地域を含めた市内全域へと誘導し、地域経済やコミュニティの活性化を図り、好循環のまちづくりを目指すもので、本市の発展に向けてまさに起爆剤として大いに期待される取組である。

 反対討論の中で指摘があった事項、ムーミンテーマパークの情報公開を求めることについて。民間事業者の開発事業であり、市では具体的な内容までは承知しておらず、また、協議を進めている内容も明らかにできないことはやむを得ないものである。

 庁内では現状と課題を整理するため、道路整備プロジェクトチームを設置するなど、2017年のオープンに向けて、着々と準備が進められていることが審査の中で明らかになった。飯能市にとって、歴史的に見ても稀な大きなチャンスであり、全力で本市の活性化と発展、ひいては市民の幸せにつなげていくことが重要であると考えている。

 ■効果期待できる施策

 選択と集中ではなく、市の公的責任を明確にし、安易な民間委託や福祉の切り捨てはやめるべきについて。ひと、もの、かねといった限られた経営資源の制約の中、将来を見据え、いま何が求められているかの視点に立ったあれかこれかの選択と集中は、今後より強く求められてくると考えられる。施策を総花的に並べるのではなく、市民生活や公共の福祉の向上に直結する、効果の期待できる施策に重点的、集中的に取り組む視点は大変重要である。

 市民の暮らしに寄り添った計画として不十分。県水の縮小、中止を求めることについて。県水導入は渇水期における取水制限などを考えると、市民生活に大きな影響をおよぼすことになることから、県水を導入し、いかなる場合があっても安定給水を確保する手段を講じておくことは、行政の重要な責務であると考える。

 以上、何点か申し上げたが、大変素晴らしい構想と計画が策定された。しかし、何より重要なことは、確実にこれを実行していくことである。

 第5次総合振興計画を市民、事業者、行政の協働によるまちづくりの指針としてオール飯能体制で取り組み、平成37年度の将来都市像「水と緑の交流拠点 森林文化都市はんのう」、そして東京圏域をはじめ多くの方々から、水と緑の玄関口はんのうと認識され、住み続けたい、住んでみたいと思われる夢と希望に溢れた飯能市の実現に向けて、市長を先頭に全職員が一丸となって邁進されることを願うとともに、我々議員もこれに大きく貢献しようではないか。以上、賛成の立場から見解を申し上げ、賛成討論とする。